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寒い日の必需品だけど…ニットが肌に当たるとチクチク、なぜ? 治せる?

秋から春先にかけて活躍するニット製品ですが、着たときに肌がチクチクしたり、かゆくなったりする人も少なくありません。こうした刺激はなぜ起こるのか、皮膚科医に聞きました。

ニットを着ると肌がチクチク…軽減できる?
ニットを着ると肌がチクチク…軽減できる?

 少しずつ暖かくなってきましたが、日中と朝晩の寒暖差は大きく、薄手のものも含めて、ニットが活躍する季節はもう少し続きそうです。ニット製品といえば、着るとチクチクして痛かったり、肌がかゆくなったりして悩むという人も少なくありません。ネット上では、「タートルネックのセーターを着ると首周りがチクチクします」「ニット製品でいつも赤みが出てしまう」という体験談の他、「もともと乾燥肌だと諦めるしかない?」「チクチクを抑える方法が知りたい」などの声も多くあります。

 ニットを着たときの「チクチク」した刺激はなぜ起こるのでしょうか。また、チクチクを軽減する方法はあるのでしょうか。逗子メディスタイルクリニック(神奈川県逗子市)の徳永理恵さん(皮膚科、美容皮膚科)に聞きました。

皮膚の細胞から「かゆみ伝える物質」放出

Q.セーターなどのニット製品を身に着けたとき、チクチクとした刺激を感じることがあるのはなぜですか。

徳永さん「皮膚は、体の外部からの異物の侵入や乾燥を防ぐ『バリアー』として機能しています。かゆみは、体表面のバリアー機能の異常を知らせ、引っかき行動を起こさせることによって物理的に異物を除去しようとする働きです。

毛糸のセーターなどが皮膚に触れると、チクチクとした痛みのようなかゆみを感じることがあります。こういった、皮膚に触れる刺激である『触刺激』によって引き起こされるかゆみは『機械的かゆみ』(アロネーシス)と呼ばれています。 セーターなどで起こる機械的かゆみは、繊維が皮膚を刺激することで起こり、皮膚の表皮細胞や免疫細胞から『かゆみメディエーター』(かゆみを伝える物質)が放出されます。

かゆみメディエーターがたくさん出れば、皮膚が赤くなったり、腫れたようになったりすることもあります。そして、その刺激は感覚神経(C線維)に伝わり、脊髄を通って脳に伝わることで『かゆみ』として感じられます」

Q.特にチクチクを感じやすいのは、どのようなニット製品なのでしょうか。

徳永さん「繊維の太さや弾力、断面の形、糸のより方などによって、チクチクの感じやすさは変わります。30 ミクロンより太い繊維を5%以上含むと、チクチクを感じやすくなります。繊維の先端が触れることも刺激になるので、繊維が短いものや、断面の形が円形でなく角張っているものもチクチク感じます。糸のより方で弾力が増すことがあり、その場合もチクチクを感じやすくなります。

さらに、汗を吸いにくい素材や静電気を起こしやすい素材も、着てから時間がたつと皮膚に刺激を起こしやすいので、注意が必要です。タートルネックや、体にフィットするようなタイプのセーターは、直接皮膚に触れやすいので、チクチクしやすくなります。特に首は、人体の皮膚の中でも角質が薄く敏感なので、チクチクを感じやすいです。

なお、『力学特性』といって、ニットの編み方によって、しなやかさや弾力、表面の形状などが変わってくるので、繊維の種類が何かというだけでチクチクしやすいと一概にいうことはできません」

Q.ニット製品でチクチクを感じたり、かゆみや赤みが出やすかったりする人の特徴とは。

徳永さん「皮膚のバリアー機能が弱い乾燥肌の人や、汗をかきやすい人、じんましんが出やすい人などがチクチクを感じやすかったり、かゆみや赤みが出やすかったりします。また、子どもは角質が薄い上に、汗をかきやすく、肌も敏感なので、チクチクを感じやすいです。

大人については、高齢になるにつれて、『セラミド』という角質層のバリアーを形成する成分が減ってくるため、角質の厚みはあっても乾燥しやすくなり、バリアー機能が落ちていきます。なお、アトピー性皮膚炎の人も皮膚のバリアー機能が低く、また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきやすく、敏感になっています」

Q.「いつもはチクチクを感じないのに、急にチクチクしたり、かゆみが出たりするようになった」というケースもあるのでしょうか。

徳永さん「ナイロンタオルでゴシゴシ洗ったり、静電気を起こしやすい化学繊維(化繊)の衣類を着ていたりと、慢性的に皮膚のバリアー機能が壊れるような生活を続けていると、ある日突然かゆみが出るようになることもあります。汗を吸わないインナーを着た状態で、暖かい部屋で過ごして汗をかき、それがきっかけで急に肌が赤くなるといった皮膚症状が出ることもあります。また、物理的な刺激だけでなく、体質に合わない繊維に対する『接触皮膚炎』もあるので、普段は着慣れないセーターなどを着てかぶれてしまうということも考えられます。

保湿をしっかりして、原因となったセーターを着ないようにした上で、数日たっても赤みが取れない、かゆみがあるという場合は病院を受診した方がよいと思います」

Q.ニット製品を身に着けることによるチクチクをなくしたり、軽減したりする方法はありますか。

徳永さん「ニット製品でも、カシミヤなど繊維が柔らかいもの、また、一本一本の繊維が長いものを選ぶとよいでしょう。繊維の硬さが原因になっている場合は、柔軟剤などを使うことで刺激を軽減できる可能性がありますが、柔軟剤自体が肌に合わないケースもあるので注意が必要です。また、体にぴったりしたデザインより、ゆったりしたデザインのものを選ぶとよいでしょう。

もともと乾燥しやすい肌の人は、朝晩の保湿を行うのはもちろん、入浴時に熱いお湯に長時間つかったり、ナイロンタオルを使ったりすることは避けましょう。皮膚に直接触れる部分には綿など、天然素材のインナーを着てからセーターを着ることをお勧めします。

(オトナンサー編集部)

【画像】乾燥肌の人がやってはいけない4つのNG行為

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徳永理恵(とくなが・りえ)

逗子メディスタイルクリニック院長(皮膚科、美容皮膚科、形成外科)

国立東京医科歯科大学医学部を卒業後、同大学形成外科所属。横須賀市立市民病院では美容レーザー外来の立ち上げを行う。都内美容皮膚科勤務を経て、2010年に「逗子メディスタイルクリニック」(神奈川県逗子市)を歯科医の夫と開院。自分自身の美しさを引き出す「美肌プログラム」を提案するなど、自然・健康・美容の街“逗子・葉山”で、生活の一部としての美容医療を啓発する活動をしている。3人の男子の育児にも奮闘中。日本形成外科学会、日本美容皮膚科学会、日本サポーティブケア学会所属。逗子メディスタイルクリニック(https://medi-style.jp/)。

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