肌の乾燥が気になる季節…「ハンドクリーム」を顔に塗っても問題はない?
手や顔の皮膚が乾燥したとき、手はハンドクリーム、顔はフェースクリームを塗るのが一般的ですが、同じ保湿のためであれば、ハンドクリームを顔に塗っても大丈夫なのでしょうか。皮膚科医に聞きました。

晴天の日には空気が乾き、肌が乾燥しやすい季節となりました。乾燥しやすい代表的な体の部位は「手」ですが「顔」も乾燥しやすいことで知られています。そのため、フェースクリームが販売されていますが、肌の保湿が目的であれば、わざわざ、ハンドクリームと使い分ける必要がないようにも思います。
顔の皮膚が乾燥したとき、ハンドクリームを顔に塗っても大丈夫なのでしょうか。アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士院長(皮膚科・形成外科)に聞きました。
顔の皮膚は薄く、手の皮膚は厚い
Q. フェースクリームとハンドクリームは肌の保湿をして、乾燥を防ぐ目的は同じです。何か違いはあるのでしょうか。
佐藤さん「顔と手の皮膚の構造や環境には違いがあります。そのため、フェースクリームとハンドクリームにはそれぞれに適した成分や材質を用いています。顔の皮膚は比較的薄いので刺激に弱く、皮脂分泌が多いです。そのため、フェースクリームは低刺激性の成分が使用され、油分も多すぎず、クリーム自体の伸びもいいです。
一方、手の皮膚は厚く、皮脂分泌は少ないです。また、物を持ったり、触れたりするなど、物理的刺激に常にさらされる環境にあります。保湿と保護効果を高めるため、ハンドクリームは粘度の高い油分や固形の油分を多く含んでいます。このように、フェースクリームとハンドクリームは組成や成分、使用感に違いがあります。
ただし、フェースクリームとハンドクリームの組成や成分に厳格な規定はなく、メーカーが用途を決めて製造しているので、両者の線引きが不明確な場合もあります」
Q.面倒くさがりの性格の人はフェースクリームの代わりにハンドクリームを使っているかもしれません。顔の肌が乾燥したとき、ハンドクリームを顔に塗っても大丈夫でしょうか。
佐藤さん「先述したように、一般的にハンドクリームにはフェースクリームよりも油分が多く含まれています。そのため、皮脂分泌が多い顔の肌にハンドクリームを塗ると、油分の多い肌にさらに油分を加えることになるため、あまりおすすめしません」
Q.定期的にハンドクリームを顔に塗ることを続けた場合、肌への悪影響はありますか。
佐藤さん「油分を多く含むため、ニキビができやすくなります。また、顔には刺激の強い成分が含まれるハンドクリームもあり、肌に合わない場合、肌荒れやかゆみを起こすことがあります。そして、ハンドクリームは伸びが悪いので、顔に塗るとき、必要以上に摩擦してしまい、その刺激が肌荒れやくすみの原因にもなり得ます」
Q.逆にフェースクリームを手に塗ることは大丈夫でしょうか。
佐藤さん「フェースクリームをハンドクリームの代わりに使うことは特に問題はありません。ただし、フェースクリームはハンドクリームよりも含まれる油分が少ないです。そのため、保湿効果が十分に得られないかもしれません」
Q.結局のところ、顔にはフェースクリーム、手にはハンドクリームと必ず使い分けた方がよいのでしょうか。あるいは一定の量であれば、部位に関係なく使用しても問題ないのでしょうか。
佐藤さん「顔や手の皮膚に適した組成や成分を用いて作られているので、基本的には使い分けた方がよいと思います。ただ、フェースクリームでは保湿が物足りなくて、ハンドクリームを使用したい場合、自分の肌になじんでいて、特に肌荒れやかゆみなどの肌トラブルを生じなければ、使用しても問題ありません。逆もしかりです」
(オトナンサー編集部)
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