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夏は肌トラブルの季節! 「ニキビ」ができたらどう対処する? 日焼け止めは使用可?

気温や湿度が高い夏は「ニキビ」ができやすくなります。ニキビができた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。専門家に聞きました。

夏のニキビ、どうする?
夏のニキビ、どうする?

 夏は気温や湿度が高く、紫外線も強いことから、肌のトラブルに悩まされることが多くなります。例えば、皮脂が多く出るため、夏になると「ニキビ」ができやすくなる人もいます。もし、ニキビができた場合、どのように対処すべきなのでしょうか。また、ニキビがある状態で日焼け止めを塗ってもよいのでしょうか。アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士院長(皮膚科・形成外科)に聞きました。

紫外線でニキビが悪化

Q.まず、ニキビができる原因について教えてください。顔にできることが多いと思いますが、頭皮や背中、胸などにもできることがあります。なぜでしょうか。

佐藤さん「ニキビができる主な原因は(1)皮脂の分泌量が多くなっている(2)角質が詰まってしまう(3)皮膚の常在菌であるアクネ菌が増えて、炎症を起こす――の3つが挙げられます。3つの要因が重なるとニキビができやすくなります。頭皮や背中、胸などは皮膚が厚く、顔と同様に皮脂の分泌量も多いので、ニキビができやすい環境としては同じだからです」

Q.思春期にニキビができやすいのはなぜでしょうか。

佐藤さん「思春期はホルモンバランスが崩れやすく、男女ともに男性ホルモンの分泌量が多い傾向にあります。すると、皮脂腺の活動が活発になり、皮脂の分泌量が増えるので、ニキビができやすくなります」

Q.やはり、皮脂が出やすい夏は他の季節に比べて、ニキビができやすいのでしょうか。

佐藤さん「夏は高温多湿なので、発汗が増えると同時に皮脂の分泌量も増え、ニキビができやすくなります。また、強い日差しによる紫外線やエアコンによる肌の乾燥が刺激となって肌がダメージを受け、角質が厚くなるため、ニキビがあると症状が悪化しやすいです。実際に、夏にニキビが悪化する人は多いです」

Q.紫外線がニキビを悪化させるとのことですが、ニキビがあっても日焼け止めを塗った方がよいのでしょうか。

佐藤さん「基本的には、ニキビがある部分に対しても日焼け止めを使用すべきです。ただし、注意点があります。まず、日焼け止めを使うべき理由から説明しましょう。紫外線はさまざまな要因から、ニキビを悪化させます。まず、紫外線を浴びると皮膚のバリアー機能が低下し、ターンオーバー(角質が入れ替わる期間)が乱れ、角質がたまりやすくなります。すると、毛穴が詰まり、ニキビができやすくなるのです。

また、皮膚のバリアー機能が低下すると皮膚は皮脂を多く分泌して、肌を守ろうとします。皮脂が増える上に、紫外線が皮脂を酸化して、炎症を引き起こす過酸化脂質が増加。さらに、先述のアクネ菌が産生する『ポルフィリン』という物質が紫外線により活性酸素を発生させ、活性酸素も皮脂を酸化させて過酸化脂質が増えるので、ニキビの炎症が悪化するのです。このように、紫外線はニキビに悪影響を与えるので、基本的には、ニキビがある部分に対しても日焼け止めを使用すべきです。

ただし、日焼け止めの中には、かえってニキビを悪化させる製品もあるので、使用時は次の点に注意しましょう。

(1)紫外線吸収剤が入っていない日焼け止めを使いましょう。紫外線吸収剤は肌の酸化を招き、ニキビの原因となることがあります。
(2)『ノンケミカル』『ケミカルフリー』などの表示がある日焼け止めを選びましょう。
(3)油分を含まない日焼け止め、もしくはアクネ菌が増えにくい油分を使用した『ノンコメドジェニック』の日焼け止めを選びましょう。
(4)ウオータープルーフ(防水加工)の日焼け止めは落ちにくいので、帰宅後にしっかり洗い落としてください。落としきれなかった日焼け止めが毛穴に詰まると、さらにニキビを引き起こしたり、肌を酸化させたりする原因となります」

Q.ニキビができたときにやってはいけない行為は。

佐藤さん「ニキビができた場合は、自己流でつぶすのはやめましょう。かえって炎症が悪化したり、ニキビ痕が目立ったりします。また、ニキビを早く治そうと頻繁に洗顔をして、ゴシゴシ擦り洗いすると、かえって悪化する恐れがあります。手で触らないようにして、洗顔は1日2回程度、優しく洗うようにし、洗顔後はしっかり保湿しましょう」

Q.ニキビがあるときに化粧をしたり、化粧水を使ったりしても問題ないのでしょうか。

佐藤さん「ニキビがある部分に化粧や化粧水を使っても構いません。ただし、化粧品の成分によってはニキビの炎症を悪化させる可能性があるため、できるだけ、低刺激性の製品を使った方がよいでしょう。また、先述のように、ニキビへの悪影響が見られないことが確認されている『ノンコメドジェニック』のものを使用しましょう」

Q.ニキビの効果的な治療法や皮膚科で診察を受けた方がよい目安について、教えてください。

佐藤さん「ニキビが1、2個、ぽつんとできた程度であれば、必ずしも皮膚科を受診する必要はありません。市販のニキビ外用薬を使用しつつ、なるべく、ニキビを触らないようにして、先述のように適切な洗顔とスキンケアを行いましょう。もちろん、皮膚科を受診すれば、適切な処置と処方で早くきれいに治すことが可能です。『ニキビが痛い』『ニキビの色が濃くなってきた』『ニキビが多くできた』『2週間以上経過しても改善しない』といった症状の場合は、早めに受診しましょう」

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佐藤卓士(さとう・たかし)

医師(皮膚科・形成外科)・医学博士

アヴェニュー表参道クリニック院長。京都大学農学部卒業。九州大学医学部卒業。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽(けんさん)を積み、現在に至る。日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会所属。アヴェニュー表参道クリニック(https://www.a6-clinic.com)。

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