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「武漢は世界一安全」と市民 コロナ対策で中国に学ぶことは多いのか

経済より「命」を選んだ中国人

Q.中国全体が日常に戻っているということでしょうか。

青樹さん「集会や会食の人数制限はあります。北京市は最近、室内での10人以上の会食禁止などを決めました。また、2月12日には春節を迎えます。昨年、春節休暇でウイルスを拡散してしまったということで、『親戚宅を訪問するな』『里帰りするな』といった呼び掛けが始まっています。中国人にとって、里帰りできないというのはアイデンティティーに関わる問題ですが、皆、守ろうとしています。

中国人はコロナ禍で『命を選ぶか、自由を選ぶか』『命を選ぶか、経済を選ぶか』という厳しい選択を迫られ、皆、『命』を選んだのです。中国人は何度も感染症の苦しみを経験してきました。SARSもそうですし、鳥インフルエンザしかりで、感染症に対しては日本よりも経験値が高いというのは事実です」

Q.中国の現状を踏まえて、日本の感染対策はどうでしょうか。

青樹さん「日本は第1波を『お願い』『自粛』ベースで乗り切りました。これは『日本の奇跡』で、中国人も『さすがに日本はすごい』と感心していたほどです。しかし、1年たつと慣れもあるし、疲れも出る。こんな曖昧なやり方を続けられたら、国民も企業も『蛇の生殺し』になってしまいます。

緊急事態宣言解除の目安も新規感染者『1日あたり約500人』ということですが、こんな高い数字だと、中国ならばロックダウンで、再び感染拡大を招く恐れもある。経済か命かだったら、命を選ぶのは当然です。とにかく感染を止めて、それから経済回復に専念する。日本人にはそれができるはずです。

『嫌中』という言葉が流行して久しくなります。香港問題もあって、最近の世論調査では中国に『よくない』印象を持つ日本人が89.7%に上っていますが、中国がいち早く感染拡大を抑え、経済も好転させているのは否めません。成功した部分は中国から取り入れてもいいのではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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青樹明子(あおき・あきこ)

ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家

早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。大学卒業後、テレビ構成作家や舞台脚本家などを経て企画編集事務所を設立し、業務の傍らノンフィクションライターとして世界数十カ国を取材する。テーマは「海外・日本企業ビジネス最前線」など。1995年から2年間、北京師範大学、北京語言文化大学に留学し、1998年から中国国際放送局で北京向け日本語放送のキャスターを務める。2016年6月から公益財団法人日中友好会館理事。著書に「中国人の頭の中」「『小皇帝』世代の中国」「日中ビジネス摩擦」「中国人の『財布の中身』」など。近著に「家計簿から見る中国 今ほんとうの姿」(日経プレミアシリーズ)がある。

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