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昔は戻ったのに…年齢とともに“やせにくくなる”のはなぜ?

若い頃は体重が増えても、軽く運動したり、食事量を少し減らしたりするだけで元の体重に戻りやすかったのに、加齢とともに「やせにくくなった」と感じる人が多いようです。なぜでしょうか。

年を取るとやせにくくなるのはなぜ?
年を取るとやせにくくなるのはなぜ?

「年を取るにつれて、やせにくくなった」「年々、体重が減りづらくなって、増える一方」――。こうした現象に心当たりはないでしょうか。若い頃は食べ過ぎて体重が増えても、軽く運動したり、食事量を少し減らしたりするだけで元の体重に戻りやすかったのに、加齢とともに軽い運動程度ではなかなか体重が落ちづらくなり、「やせにくくなった」「昔は維持しやすかったのに」と感じる人が多いようです。

 ネット上では「食べた分だけ太って、戻らないようになってしまった」「どうして、年を取るとやせにくくなるんだろう」「やせやすい体に戻せる?」など、さまざまな疑問の声が上がっています。加齢とともに、やせにくい体になっていくのは本当なのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

加齢とともに筋肉量が減って…

Q.そもそも、体重が減る(やせる)とき、人間の体内ではどのようなことが起こっているのでしょうか。

市原さん「体内で過剰になったエネルギーは中性脂肪となって、体内に蓄積されます。この脂肪が皮下脂肪や内臓脂肪になって、太るわけです。

逆に、体重が減ってやせるときには、脂肪細胞が分解される必要があります。運動などで体内のエネルギーが減少すると『リパーゼ』という酵素が活発化して、中性脂肪が遊離脂肪酸とグリセロールに分解されます。その遊離脂肪酸が全身の筋肉に運ばれて、エネルギーに変換されます。これがいわゆる、脂肪が燃焼する状態です」

Q.加齢とともに、やせにくくなる(体重が落ちづらくなる)のは事実でしょうか。

市原さん「事実です。人間の生命維持活動に必要なエネルギーである『基礎代謝』は寝ている間も消費するものですが、筋肉には体温を維持する働きがあり、これに多くのエネルギーを必要とします。つまり、筋肉量が少なくなると消費するエネルギーも減り、基礎代謝が落ちることになります。

体温維持や運動の際のエネルギー消費量は筋肉量に比例するので、加齢とともに筋肉量が減っていくと基礎代謝量も低下していきます。そのため、やせにくくなるのです」

Q.やせにくくなり始めるタイミング(年齢)の目安はあるのでしょうか。

市原さん「筋肉量が落ちて、基礎代謝量が低下するタイミングは個人差がありますが、50歳以降に目立ち始めるので、『やせにくくなった』と実感することが多くなってくるでしょう。70歳以降では、さらに基礎代謝量は低下してきます」

Q.一方で、年を取っても体重を維持しやすい人もいるのでしょうか。

市原さん「いると考えられます。加齢に伴う基礎代謝量の低下の主な理由に、骨格筋量の減少が挙げられます。運動習慣がある人は筋肉量が減りにくいので、やせにくくならない可能性が高いです。散歩などの有酸素運動に加えて、筋トレなどの無酸素運動を取り入れると、より筋肉量の維持・強化につながるのでおすすめです」

Q.加齢によって、やせにくくなるかどうかを自分で見極めるポイントはありますか。

市原さん「そもそもの食生活が不規則であったり、過食だったりして乱れているとやせません。運動習慣がない人も同じです。遺伝的要因もありますが生活習慣の影響の方が大きいので、自分の今の生活習慣が悪くないかどうか、現状、肥満ではないか、見直すことが必要です。

体組成計や体脂肪計で筋肉量を測れるものがあるので、自分の筋肉量が年齢相応なのかどうか、変化を確認する意味でも測ってみるといいですね」

Q.加齢によってやせにくくなった体を、やせやすい体に戻すことは可能ですか。また、何歳になってもやせやすい体をキープするために、若いうちからしておくとよいことは。

市原さん「やせやすい体に戻すためには、運動することに尽きます。基礎代謝量をアップさせるためにも、先述の通り、有酸素運動に加えて無酸素運動を取り入れ、筋肉量の維持・強化に努めることが大切です。

そして、体重を維持しやすい体のキープにもやはり、運動が重要です。若いうちから運動習慣をつけておくと、年齢を重ねても運動することに対する抵抗が少なくなります。年を取ってから運動を開始しようとしても、気が向かずに結局できなかったり、いざ運動を始めたとしても腰や膝を痛めたりすることもありますし、実際にそういう人を多く見ます。

ぜひ、若いうちから日常的に運動する習慣をつけましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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