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体に悪そうでも…お酒と一緒に「揚げ物」で悪酔い&二日酔い防止になる?

「お酒」と「揚げ物」の食べ合わせは体に悪そうな印象がありますが、二日酔いや悪酔いを防ぐためには一緒に食べた方がよいという声があります。本当でしょうか。

お酒と一緒に揚げ物を…?
お酒と一緒に揚げ物を…?

「二日酔いや悪酔いを防ぐために、お酒と一緒に揚げ物を食べた方がよい」という考え方があるそうです。一般的には「お酒と揚げ物を一緒に食べることは体によくない」というイメージがあり、ネット上でも「お酒と揚げ物は危険」など否定的な声が多いようです。二日酔いや悪酔いを防ぐために、お酒と一緒に揚げ物を食べることはよいのでしょうか、悪いのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

空腹ではアルコール濃度急上昇

Q.二日酔いや悪酔いを防ぐために、お酒と一緒に揚げ物を食べることはよいのでしょうか、悪いのでしょうか。

市原さん「お酒と一緒に揚げ物を食べることは、適量であれば、よい面もあります。ただし、お酒を飲み始める前に揚げ物を食べることが前提です。揚げ物に含まれる油が、胃や小腸でのアルコールの吸収を緩やかにし、血中アルコール濃度が急激に上昇することを防ぐからです。そのため、二日酔いや悪酔いになりにくくなります」

Q.揚げ物の油がどのような働きをして、二日酔いや悪酔いを防ぐのですか。

市原さん「お酒に含まれるアルコールは主に小腸で吸収されるのですが、空腹の状態でお酒を飲むと、胃から小腸へアルコールが速やかに移動し、血中アルコール濃度が急激に上がることになります。一方、揚げ物に含まれる油は消化・吸収に時間がかかるため、胃での滞在時間も長くなります。具体的には、揚げ物などの油ものを食べると、十二指腸から『コレシストキニン』というホルモンが分泌され、胃の働きを抑制して、胃から小腸への食べ物の排出能力を弱めます。

つまり、同時にアルコールを摂取していた場合、アルコールの胃での滞在時間も長くなり、小腸からアルコールが吸収されるのに時間がかかるので血中アルコール濃度の上昇が緩やかになるのです。ただし、油よりは劣りますが、コレシストキニンはタンパク質や炭水化物でも分泌が刺激されます。肉や魚、乳製品、パン、ご飯といった食べ物、飲み物を、お酒を飲む前におなかに入れておくことでも、二日酔いや悪酔いを防ぐ効果はあります」

Q.揚げ物によい面があるといっても、食べ過ぎはよくないと思います。二日酔いや悪酔いを防ぐために、揚げ物はどれくらいの量であれば許容範囲でしょうか。

市原さん「もちろん、揚げ物の食べ過ぎはよくありません。例えば、一般的に売られたり、お店で提供されたりしている大きさの唐揚げであれば、1個から2個が許容範囲だと思います。多くても片手に乗る程度の量にとどめましょう」

Q.お酒と揚げ物という組み合わせについて「体によくない」といった否定的な声が多いようです。一緒に食べることで、体にどのような悪影響があるのでしょうか。

市原さん「お酒も油ものも中性脂肪の数値を上昇させます。脂肪が肝臓にたまる脂肪肝を誘発したり、体重が増えたりするので、頻繁に、そして大量に食べてはいけません。肥満になれば、高血圧や心臓病、がんなどの病気になりやすくなります」

Q.揚げ物以外でも、油を含む食べ物で二日酔いや悪酔いを防ぐことができるのでしょうか。もしできるならば、どのような食べ物でしょうか。

市原さん「揚げ物以外でも、油を含む食べ物であれば、二日酔いや悪酔いを防ぐことができます。例えば、ドレッシングをかけたサラダやカルパッチョ、アヒージョなどの方が揚げ物よりも健康的です。また、先述したように、肉や魚、乳製品、パン、ご飯などを少し食べておくことも効果があります」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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