オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

メディアの宿命? 政治家の“発言切り取り”報道で趣旨が変わる事態、どう防ぐ?

メディアは説明、市民は検証を

Q.こうした政治家の発言の切り取り報道が今後、問題にならないためにも、マスメディアがすべきことは何でしょうか。

山口さん「政治家の発言の切り取り報道が問題になるのは、報道のやり方や報道姿勢に問題があるからです。切り取った発言と全体の発言を比較して、バランスに変調がある場合、マスメディアは説明すべきです。例えば、桜田氏の池江選手の会見に関する報道は『病気からの早い回復を願うと話す一方、金メダル候補なのでがっかりしているとも話した』という趣旨であれば、あれほどの批判は起きなかったと思います。

発言の『切り取り』そのものはマスメディアの宿命です。新聞など印刷媒体の場合はスペース、テレビの場合は放送時間の制限があり、発言の全ては報道できません。一方、切り取りがあるからこそ、読者・視聴者は短時間で、役に立つさまざまな情報を受け取ることができます。それが大切で役に立つ情報であるか、一方的な情報であるかは、マスメディアの報道の方法と姿勢にかかっています」

Q.視聴者や読者は、マスメディアが報道する政治家の発言が本来の趣旨と一致しているか判断するために、どのようなことができますか。

山口さん「最近はネットに記者会見の全文が掲載される場合がありますし、国会の議事録は公開されています。本来の趣旨と一致しているかどうか疑問を持った発言には、マスメディアの切り取り報道をうのみにせず、どのような状況で、どのような前後関係の中で問題の言葉が発せられたのか、報道されなかった部分はなかったか、自分で調べてみるのも一つの方法だと思います。マスメディアが『権力の番人』と自負するように、国民は『メディアの番人』としての役割を果たすための努力をすべきだと思います」

(オトナンサー編集部)

1 2

山口明雄(やまぐち・あきお)

広報コンサルタント

東京外国語大学を卒業後、NHKに入局。日本マクドネル・ダグラスで広報・宣伝マネージャーを務め、ヒル・アンド・ノウルトン・ジャパンで日本支社長、オズマピーアールで取締役副社長を務める。現在はアクセスイーストで国内外の企業に広報サービスを提供している。専門は、企業の不祥事・事故・事件の対応と、発生に伴う謝罪会見などのメディア対応、企業PR記者会見など。アクセスイースト(http://www.accesseast.jp/)。

コメント