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子育てママは次期首相に誰を選ぶ? 「待機児童」改善求める声も

「産める環境」の整備を

Q.3位以下の政策について、改善すべき点や次期首相に期待することは。

佐藤さん「『男性育休の義務化』については、共働き家庭が増えているのだから、“共育て”するのが当たり前ではないかという母親たちの意見があります。ただ、育休を取得すると、取得期間中は会社からの毎月の給与は出ないので、長期にわたり、ましてや夫婦同時に育休を取るのは金銭的に現実的ではありません。

フランスでは、産後に11日間取得できる『父親休暇』があるのですが、その間の収入の補填(ほてん)は医療保険から支給されます。私はたまたま出産当時、フランスに在住していたのですが、この制度をとてもありがたく感じました。

母親など日本からの助っ人なしでの出産でしたので、この制度がなければ、私は産後1人でやりくりしなければいけませんでしたが、俗にいう『産後の肥立ち』の時期を夫婦で乗り越えることができたので、体力的にも精神的にも大きな助けとなりました。

ただ一方で、『男性が育休を取得すること』だけを目的にしてしまうと、本末転倒になるかもしれません。大事なのは、その育休中に何ができるかです。もし、男性がそれを『休暇』として捉えてしまい、例えば、テレビやゲームばかりしていたら、『会社に行ってくれた方がいい』ということになってしまいます。

子育ての基礎的なことを学ぶ『父親教室』のような形で、具体的に何をする期間かという認識を高めた上での普及が望ましいと思います。

『不妊治療』については、経済的な負担の大きさが課題です。支援拡充が実現すれば、前に進めるご夫婦が増えると思われます。

『フランスでは不妊治療が無料』という話を聞いたことがある人もいると思います。収入の多少に関わらず、治療が必要だと医師が認めれば、国の保険で不妊治療の費用を賄ってくれます。42歳までという年齢制限はありますが、平等で希望の持てる施策です。フランスは子だくさんの国で知られていますが、このような後ろ盾があることが、やはり大きいと思います。

フランスの合計特殊出生率は1.87人(2019年)と先進国中トップで、日本の1.36人(同)と比べ、0.5人も多いのです。日本では少子化問題が切実ですが、対策として、育てやすい環境を整えるのも大事ですが、それ以前の『産める環境』づくりも大事だと思います」

Q.選択肢に挙がった4項目以外で、次期首相に実現してほしいことはありますか。

佐藤さん「働き方改革、特にその中でも長時間労働について、改善してほしいです。国連からも、日本の働き方に関する是正勧告がされていますが、長時間労働による育児への悪影響は否めません。

私はこれまで、さまざまな国に住みましたが、日本ほど、人々が遅くまで働いている国はありません。他の国では、みんな、基本的には午後6時くらいには帰宅して、夕食は家族で食べています。帰宅時間が遅くなればなるほど、家族が一緒に過ごす時間は減ることになり、それによるしわ寄せは子どもに行ってしまうことも多いのです。

もちろん、育児、特に親子間の絆においては、その“質”が大事なのですが、量である“時間”が助けてくれることは多々あります。ただし、長時間労働を解消することで収入が下がり、生活が営めなくなってしまっては元も子もないので、個人や企業レベルではない、抜本的な国の施策が必要だと感じています」

(オトナンサー編集部)

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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