場が盛り上がる! 正しい「飲み会のあいさつ」を徹底解説
ビジネスや地域交流などに欠かせない「飲み会」ですが、そこで必要になるのが「あいさつ」ですね。いざ、自分が頼まれて困ることのないよう、ここでは「飲み会のあいさつ」のマナーを解説します。あなたのあいさつで会を盛り上げましょう。
飲み会のあいさつは、いつ頼まれるかわからない
ビジネスシーンに限らず、町内会やサークルの集まりなど、さまざまな場面で開かれる「飲み会」。皆さんも、参加する機会が多いことと思いますが、そんな飲み会に欠かせないのが「あいさつ」です。特に、乾杯のあいさつなどは、いつ、誰が頼まれてもおかしくありません。
オトナンサー編集部では、飲み会であいさつをする際に守るべきマナーについて、年間250本以上の講義やビジネスマナーの連載、執筆などをこなし、3月に新刊「入社1年目ビジネスマナーの教科書」を出版した、マナー講師の金森たかこさんに聞きました。しっかり学んで、あなたのあいさつで飲み会を盛り上げましょう。
まず、あらかじめ開催が決まっている新年会や忘年会などの場合、数日前にあいさつを頼まれる可能性が高く、事前にじっくりと内容を考える余裕があるかもしれません。
しかし、日常的に行われる小さな飲み会で、急にあいさつを頼まれることもあります。突然の依頼であっても、そこは断らずに引き受けてこそ大人。そこで、飲み会がどのような流れで進み、いつ、どのようなあいさつが求められるかを知っておきましょう。
【飲み会の流れとあいさつの順番】
一般的な飲み会の流れは以下の通りです。
1.開会のあいさつ
2.始めのあいさつ
3.乾杯のあいさつ
4.会食・歓談
5.締めのあいさつ
6.閉会のあいさつ
「1」と「6」は、主に司会進行を任された人や幹事が行います。残りは、それぞれの会社や組織の慣例にもよりますが、「2」は一番役職が高い人、「3」は3番目に役職が高い人、「5」は2番目に役職が高い人が行うケースが多いようです。
ただし乾杯のあいさつは、いきなり新人に回ってきたり、上司が「誰か面白い人に任せた」などと、指名したりすることもあります。乾杯のあいさつという大役に不安を感じるかもしれませんが、心配は無用です。マナーを守って進めていけば、誰でも必ず成功するでしょう。
【必須マナー】乾杯のあいさつで飲み会が決まる!
飲み会において、乾杯のあいさつは、その会の流れを決める大きな役割を持っています。乾杯のあいさつ次第で、盛り上がることも、逆に盛り上がらないこともあります。以下では、飲み会を成功させるために必要な、あいさつのマナーをまとめました。
【あいさつは短く】
乾杯のあいさつは、ポイントを押さえて簡潔に。グラスを持ちながら、立ってあいさつを聞いている人の気持ちを考え、30秒~1分ほどで終わらせるようにしましょう。
【目的を盛り込む】
飲み会の目的や趣旨を、あいさつに盛り込むとよいでしょう。目的に言及することで、改めて出席者の気持ちがまとまり、飲み会が、より内容の濃い時間となります。自己紹介が必要な場合は冒頭に簡潔に述べ、その後、簡単にでも目的について触れると、まとまりのあるあいさつになります。
【始めのあいさつに触れる】
始めのあいさつは、出席者の中で最も役職の高い人が行うケースが多いもの。乾杯のあいさつでも、その内容に触れることができれば、流れを受け継いだ良い形になります。「先ほど社長からごあいさつがあった通り…」などと自分の話につなげたり、印象的だった言葉や内容を引用したりすると、さらに良いでしょう。
前の人が話した内容に触れるあいさつは、事前に考えておくことができないため、かなり高度なテクニックですが、これができれば、臨場感のある、短くても印象に残るあいさつになります。
【他人を傷つけない】
飲み会のフランクな雰囲気やあいさつを任された高揚感から、「面白いあいさつを」と考える人もいることでしょう。その場にいる人が心から楽しく笑える内容であれば問題はありませんが、個人の失敗談を取り上げたり、その場にいない人を中傷するような内容で笑いを取ろうとしたりしてはいけません。不快に感じる人がいるため、他人を傷つけることや下品な内容などは避けましょう。
あいさつはこれでオーケー! 発声までの3ステップルール
乾杯のあいさつは、3ステップを順に踏むだけでオーケーです。この流れは、ほかのあいさつの基本にもつながるため、この機会にインプットしましょう。
【ステップ1 自己紹介】
まずは簡単に自己紹介を。司会の方から「乾杯のあいさつは◯◯さんにお願いいたします」などと紹介があるため、あいさつ前の自己紹介は、部署や名前など簡単なものでオーケーです。
【ステップ2 メインスピーチ】
始めのあいさつに触れ、飲み会の目的を明らかにした後は、今後の目標などでまとめます。前向きになれるような、明るい内容にしましょう。
【ステップ3 乾杯の発声】
ここで、いよいよ乾杯の発声です。勢いをつけて、出席者が乾杯のタイミングを取りやすいように、大きな声で「乾杯!」と言いましょう。
【シーン別】乾杯のあいさつのサンプル
ここでは、さまざまなシーンを想定した乾杯のあいさつの例文をご紹介します。これらをベースに、オリジナリティーのあるあいさつを考えてみましょう。
【新年会のあいさつ】
明けましておめでとうございます。ただ今、ご指名をいただきました◯◯です。大変僭越(せんえつ)ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます。
さて、本日は新年会です。先ほど社長のごあいさつにもあったように、昨年はこれまでにない好成績を残すことができました。今年も良い一年となりますよう、本日の新年会で楽しくスタートいたしましょう。
それでは、グラスをお取りになって、ご唱和をお願いいたします。
今年も素晴らしい年となりますよう、当社の発展と皆様の健康を祈願して、乾杯!
【忘年会のあいさつ】
皆様、今年も一年お疲れさまでした。本日の乾杯の音頭を取らせていただく◯◯です。
本日は、今年一年の頑張りを、お互いにねぎらう忘年会でございます。先ほどの社長のお言葉にもあった通り、不況の中にもかかわらず、全員が一丸となった結果、会社を盛り上げていくことができました。
本日は、来年に向けて英気を養うべく、楽しく食べて飲んで過ごしましょう。
それでは、乾杯の音頭を取らせていただきます。
今年一年の皆さんの仕事の情熱に感謝して、乾杯!
【新入社員歓迎会のあいさつ】
◯◯年度の新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
わたくし、◯◯年度入社の◯◯と申します。乾杯の音頭を取らせていただきます。
今日は、新入社員の皆さんが主役の歓迎会です。先ほど社長のごあいさつにもあった通り、わが社は風通しがよく、社員同士のコミュニケーションが活発です。
仕事のことでもプライベートでも、何か困ったことがあったら、私たちに遠慮なくご相談くださいね。
それでは、乾杯を行いますので、グラスをお手にご唱和をお願いいたします。
新入社員の皆さんの飛躍と当社の繁栄を願って、乾杯!
【急きょ開かれた慰労会】
皆さんお疲れさまです。
◯◯部の◯◯です。乾杯の音頭を取らせていただきます。
本日は、先日無事終了した◯◯プロジェクトのお疲れ様会です。担当部長のお言葉にもありましたが、今回は特に△△さんをはじめ、××部のご協力があって成功を収めることができました。
今日は、プロジェクトに関わったメンバーみんなで楽しみ、明日からまたリフレッシュした気持ちで仕事にまい進してまいりましょう。
それでは、乾杯の音頭を取らせていただきます。
プロジェクト成功を祝って、乾杯!
これも押さえれば完璧! その他の飲み会のあいさつ
ここまで、最も依頼される可能性の高い乾杯のあいさつについて見てきました。しかし、飲み会では、乾杯のあいさつ以外にも、任される可能性の高いものがいくつかあります。それらのあいさつごとのポイントを解説します。
【新入社員あいさつ】
新入社員の場合、社内でも何度かあいさつをしているはずです。飲み会の場であいさつを求められた場合は、節度をわきまえた上で、社内のあいさつよりもフランクに、より個性が伝わるあいさつを心がけるとよいでしょう。
例文:
本日は、私たちのために歓迎会を開いてくださり、ありがとうございます。
改めまして、◯◯部に配属されました◯◯◯◯と申します。
先ほどは社長から私たちに、@@というお言葉をいただきありがとうございました。
新入社員一同、不安が吹き飛び、これから始まる△△株式会社での日々にワクワクしているところです。
私たち新入社員は皆、出身も専攻も違いますが、△△株式会社で活躍したいという気持ちは共通です。そして、お酒が好きというのも共通です。
本日は、おいしいお酒をいただきながら、先輩方と親睦を深められたらと思っております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
【はなむけのあいさつ】
転勤や異動、退職をする人に向けてあいさつをする場合、相手の人柄が伝わるようなエピソードや思い出話を入れると、心に残る印象的なあいさつになります。
例文:
ご紹介に預かりました◯◯です。
△△課長、◯年間大変お世話になりました。
△△課長が異動されることがわかったとき、本当に驚きショックを受けたのは私だけではなかったはずです。ここ数日、△△課長の存在の大きさを社員一同が感じておりました。
私が入社して間もない頃、失敗を恐れて仕事がうまくいかないことがありました。そんなとき、△△課長は私を否定するのではなく、「小心者くらいが、ちょうどいい。慎重に仕事を進める◯◯だから仕事を任せられるんだ」と言葉をかけてくださいました。
そのときの言葉が、今日まで私の力となっていました。本当にありがとうございました。△△課長から学んだことは、これからの私たちにとってかけがえのない財産となります。
新天地でも、どうかお体にお気をつけてご活躍されることをお祈り申し上げます。
本当に、ありがとうございました。
【中締めのあいさつ】
飲み会によっては、1次会でいったん締め、会場を変えて2次会を行う場合があります。そのときに、中締めのあいさつを求められることがあります。乾杯のあいさつと同じか短いくらいで、簡単に会を締めくくりましょう。
例文:
皆様、本日はお忙しいところ、◯◯会にお集まりくださりありがとうございました。
それではここでいったん、お開きにしましょう。
◯◯株式会社のますますの繁栄を祈って、万歳三唱といたします。それでは、私に続いてお願いします。
◯◯株式会社の発展を願って、万歳! 万歳! 万歳!
「歓迎会に送別会、新年会、忘年会と、どんな飲み会であっても、そこには、お互いの労をねぎらう気持ちや、誰かを歓迎・祝福したいという温かな思いがあります。その会をより思い出深いものにするのが、気持ちが伝わるあいさつ。マナーがあり、なおかつ、オリジナリティーあふれるあいさつは、出席者への最高のおもてなしです。基本パターンを把握して、突然の依頼にも対応できる、あいさつ上手な大人を目指しましょう」(金森さん)
(オトナンサー編集部)
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