マナーのプロが解説! 正しい結婚式の服装【女性編】
最近はカジュアルな形式が増えるなどトレンドが変化しつつある「結婚式」。しかし、スタイルは変われど、これだけは守りたい服装のマナーがあります。今回はその女性編です。

女性が結婚式の服装を選ぶ際の3つのポイント
大人になると、結婚式に出席する機会が増えていきます。最近はカジュアルな形式のものが増えるなど、トレンドも変化しつつありますが、皆さんはいつも、どのような服装を選んでいますか。
オトナンサー編集部では、式のスタイルは変わっても、これだけは絶対に守ってほしい「服装のマナー」をお伝えします。今回はその女性編。教えていただくのは年間250本以上の講義やビジネスマナーの連載、執筆などをこなし、3月に新刊「入社1年目ビジネスマナーの教科書」を出版した、マナー講師の金森たかこさんです。
まず結婚式は、自分が着たい服装を優先するのではなく、以下の項目を満たしているかどうかがポイントです。
【年齢・式場の格に合っているか】
まずは、自分の年齢に合った格好をしているかどうかが重要です。それぞれの年代にふさわしい、違和感のない色やデザインの洋服を選ぶようにしましょう。
また、結婚式が行われる会場の格も気にする必要があります。服装があまりにカジュアルすぎて、会場の格と合わずに恥ずかしい思いをした…ということにならないように、事前に会場の雰囲気もリサーチしておきましょう。
【華を添える服装か】
結婚式では、男性はスーツを着用するため、どうしても黒や紺、灰色などの落ち着いた印象の色となってしまいます。その半面、女性はさまざまなカラーのドレスを楽しむことができます。女性は、会場に華を添える役割も担っているのです。
最近では、黒のドレスで落ち着いた印象にまとめる方もいらっしゃいますが、招いた側からすると、華やかな装いで出席してもらえれば、うれしいものです。心を尽くして相手のために装うのも、お祝いの気持ちの表現のひとつ。本来求められている、華を添えられる服装になっているか配慮するのも、ワンランク上の大人の女性と言えるでしょう。
【新婦より目立っていないか】
前項で「華を添えるような服装を」としましたが、あくまで「華を添える」立場です。結婚式の主役である新婦より目立つことがあってはいけません。花嫁の色である白いドレスを着ることは避けましょう。お色直しがある場合は、自分の着ていくドレスがカクテルドレスのカラーと重ならないか、さりげなく聞いておくのもよいでしょう。
ドレスコードを押さえよう
ここでは、具体的なコーディネートの話に入る前に、ドレスコードについて知っておきましょう。結婚式ではドレスコード、つまり守りたい服装の決まりというものが存在します。これは、さまざまな世代の人が集まる中で、全員が気持ちよく、その時間や空間を過ごすためのものです。自分だけドレスコードを勘違いしていた、ということにならないように注意しましょう。
【正礼装】
最もフォーマルな服装です。主賓クラス、つまり、「新郎新婦の父母」「媒酌人(仲人)」「新郎新婦にとても近い親戚」の立場で出席するときは、この正礼装となります。正礼装は女性の場合、主に中振袖、黒留袖など、親族の方が着用している格好をイメージするとわかりやすいでしょう。
【準礼装】
正礼装の次にフォーマルなのが、準礼装です。これは、「新郎新婦の親戚」や「友人」「知人」「仕事関係者」などの立場で出席する人たちのドレスコードです。カクテルドレスやセミアフタヌーンドレスなどがこれにあたります。結婚式の招待状に、服装についての指定が何もない場合、ほとんどが、この準礼装でお越しくださいという意味です。
【略礼装】
招待状に、「平服で」との記載がある場合は、この略礼装で出席します。「略」だからといって、普段着でよいという意味ではありません。あくまで正礼装でなくてもよいという意味であり、ジーパンなどカジュアル過ぎるものを着用しないよう注意しましょう。
「髪型」「アクセサリー」「ドレス」のマナー
結婚式の服装は、ドレス選びさえ気をつければよいというものではありません。髪型から靴、小物まで、意識すべきポイントが数多くあります。結婚式のマナーとして正しいのはどのようなものか、以下では、頭からつま先まで総チェックしましょう。
【髪型】
髪型は、お祝いの場にふさわしい華やかなアレンジにしたいものです。主に「アップスタイル」「ハーフアップスタイル」「ダウンスタイル」に分かれますが、フォーマルな場であればあるほど、「アップスタイル」のアレンジが良いとされています。2次会に参加する場合やカジュアルなスタイルの場合、「ダウンスタイル」でも問題ありませんが、ルーズな印象を与えないことが大切です。
◆これはNG◆
花嫁と重なる、「ティアラ」のような飾りはつけないようにしましょう。「花」がモチーフのものも避けたほうが無難です。
【アクセサリー】
ネックレスやイヤリング、ピアスなどのアクセサリーは、ドレスとの統一感を重視します。昼の式でも夜の式でも、時間帯に限らず万能なのがパールです。昼間はパールなどの光らないものを、夜は、華やかにクリスタルやゴールドを取り入れてもよいでしょう。
◆これはNG◆
昼の結婚式では、光りものは身に着けないようにしましょう。結婚式では写真撮影をする場面が多くありますが、光るアクセサリーだと反射してしまい、周りの人の写りを悪くしてしまう恐れもあります。
【ドレス】
ドレスは、結婚式に華を添えられるようなカラーとデザインのものを選びます。優しいピンクやベージュ、淡いブルー、ミントグリーンなどもよいでしょう。
素材は、シフォンやオーガンジー、レースなど、女性らしく柔らかい印象のものを選びます。丈は膝から膝下5センチくらいが理想です。肩が出るデザインの場合は、ボレロやショールを羽織るようにしましょう。
●20~30代のドレス選び
かわいらしいカラーのドレスを、フリルやリボンなどのデザインで華やかにしましょう。黒で統一したり、胸元が開いたデザインにしたりするなど、ドレッシーにし過ぎると、年齢に合わずに浮いてしまう恐れがあります。
●30~40代のドレス選び
この年代の女性はかわいくなり過ぎないように、上品さを極めていきましょう。色味はネイビーやブルー、ベージュなど落ち着いたものとし、デザインをアシンメトリーなものにするなどして個性を出してもよいでしょう。
●40代~のドレス選び
40代以上になると、ドレスの素材も良いものを身に着けたいものです。シフォンやレースはもちろん、フォーマル感のあるシャンタン素材もオススメです。小物でおしゃれを演出するなど、ワンランク上のおしゃれを目指しましょう。
◆これはNG◆
花嫁さんと重なる白や、写真に白っぽく写る色はNGです。そのほか、日中の式で肩が出ているものはマナー違反。また、丈が膝上5センチ以上のミニスカートやスリットが深く入っているものも避けましょう。ボレロやショールを着用する場合、ファーや革などは「殺生」を連想させるアイテムであるため、選んではいけません。
「ストッキング」「靴」「バッグ」のマナー
【ストッキング】
ストッキングは、ナチュラルカラーのベージュのものを選びましょう。最近は、ラインストーンがあしらわれているものなどもあります。派手になり過ぎないように、さり気ないおしゃれをストッキングでも楽しんでください。
◆これはNG◆
たとえ夏場であっても、生足はNGです。また、黒のストッキングやカラータイツなどもふさわしくありません。
【靴】
靴は基本的に、つま先の出ないパンプスを選ぶようにします。また、フォーマルな場では5センチ以上のヒールがあるのが望ましいとされています。しかし、式のスタイルによってはこの限りではありません。パンプス以外にも、オープントゥパンプスや、サンダルでもストラップがついた上品なものは許容されます。また、妊婦さんや小さなお子さんがいて高いヒールが難しい場合は、平たい靴でも問題ありません。
◆これはNG◆
ストラップのついた、つま先が隠れるタイプのサンダルまでは許容されますが、ミュールまで足が露出すると、快く思わない人もいるかもしれません。また、ブーツはどんなデザインであっても結婚式にはふさわしくありません。
【バッグ】
バッグは、ドレスや羽織、靴との相性が良いものを選びましょう。大きさは、最低限の財布やカメラ、スマートフォン、祝儀袋、ハンカチ、ティッシュペーパー、メーク直し用のポーチなどが入るものが最適です。荷物のたくさん入った大きなバッグは、クロークに預けましょう。ガーデンパーティーやビュッフェスタイルなど移動が考えられるスタイルの場合は、両手を空けておきたいものです。持ち手があるものや、チェーンで肩にかけられるものが安心です。
◆これはNG◆
ブランドのロゴが大きく入っているものやキャラクターもの、大きすぎるものは避けましょう。また、バッグもファーやアニマル柄のものは「殺生」を連想させるため好ましくありません。
その他の「避けたいアイテム」
【その他の避けたいアイテムまとめ】
1.バイカラーワンピース…△
「別れ」のイメージにつながるため、本来は避けたいものの一つです。ただし、最近のトレンドとしては認められつつあります。式のスタイルによってはオーケーかもしれませんが、新郎新婦や親族、年配の方からの目が気になる場合は避けましょう。
2.腕時計…×
腕時計は、結婚式などのフォーマルな場ではNGとされています。腕時計をつけていると、時間を気にしているということで失礼にあたるため、いつもの癖でつけていかないように気をつけましょう。
3.ブラックパール…△
ブラックパールは本来、フォーマルなアクセサリーとして使用可ですが、最近は、不祝儀を連想させるとして黒を避ける傾向にあります。
4.揺れるピアスやイヤリング…△
揺れるピアスやイヤリングは、「家庭が揺れる=安定しない」ということに結びつくと考える説があるため、避けたほうが無難です。また、大きすぎる飾りは目立ちすぎてよくないという理由もあるようです。
「結婚式にはたくさんのマナーがあり、窮屈に感じる人も多いかもしれません。しかし、その場にあった服装で結婚式に参加することは、最も基本的なお祝いの気持ちの表れと言えます。新郎新婦に喜んでもらうのはもちろん、自分自身も式を存分に楽しめるように、恥ずかしくないマナーで参加したいものです」(金森さん)
(オトナンサー編集部)
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