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新型肺炎で品切れ続く…「マスク」の再利用や煮沸消毒はすべきでない? 医師に聞く

マスク不足の状況が続き、「使い捨てマスクを再利用できないか」との声があります。再利用できないのが常識ではありますが、緊急時ということで、医師に聞いてみました。

マスクが売り切れた神戸市内の薬局(2020年2月、時事)
マスクが売り切れた神戸市内の薬局(2020年2月、時事)

 新型コロナウイルスによる肺炎への不安が高まり、ドラッグストアやコンビニエンスストアでマスクの売り切れが続出しています。新型肺炎は収束する気配がなく、しばらくは感染への不安とマスク不足が続くと考えられます。

 こうした状況を受けて、ネット上では、「数日間、同じ使い捨てマスクを繰り返し使っても大丈夫?」「煮沸消毒をして使い捨てマスクを再利用できないか」など今後の対策を考える人も現れています。使い捨てマスクは再利用する目的では作られていませんが再利用を考えられないか、内科医の市原由美江さんに聞いてみました。

煮沸すると耐久性に懸念も

Q.マスクが新型肺炎の感染予防に効果があるとして、多くの人がマスクを購入していますが、「ウイルスはマスクの繊維の穴よりも小さく、簡単にすり抜けてしまい予防効果はない」という声もあります。新型コロナウイルスはどうなのでしょうか。

市原さん「マスクを正しく使っている場合、新型コロナウイルスがマスクをすり抜けて感染する可能性は低いです。ウイルスは、空気感染するものと、飛沫(ひまつ)感染や接触感染するものとに分けられます。麻疹(はしか)ウイルスなど、空気感染するウイルスは空気中を浮遊するため、マスクをしていてもマスクと顔の隙間から感染したり、マスクを通過して感染したりします。

一方、飛沫感染や接触感染するウイルスは、くしゃみやせきで放出された唾液中にウイルスなどの病原体が混ざっており、唾液(飛沫)が鼻や口に付着した場合や、ウイルスが付いた手で鼻や口を触った場合に感染する仕組みです。新型コロナウイルスは飛沫や接触で感染するウイルスなので、マスクをすり抜けて感染する可能性は低いです」

Q.では、新型コロナウイルスの感染予防にマスクをすることは有効なのですね。

市原さん「感染していない人がマスクをするのは、周囲からの飛沫感染、そしてウイルスが付いた手で鼻や口などを触ることによる接触感染を防ぐためです。感染を防ぐための手段としてマスクをすることは、基本的には有効だと思います。

ただし、マスクを正しく使うことが大切です。鼻と口をしっかり覆って隙間がないようにする▽一度外したら再度着けずに新しいものに交換する▽マスクの表面を触った手で鼻や口に触れない――などです。

マスクにウイルスが付着していた場合、取り外すときなどにマスクの表面を触ってしまうと手に付着し、その手で鼻や口を触ると感染する可能性があるからです。マスクによって飛沫感染は防ぎやすくなりますが、接触感染には十分注意が必要です」

Q.感染予防に有効ということで、世の中では各地でマスク不足が起きているようですが、使い捨てマスクを数日間、繰り返し使うことはできないのでしょうか。

市原さん「マスクを着けて長時間過ごすと、マスクの表面にウイルスが付着している可能性があります。一度使ったマスクを繰り返し使うことはおすすめできません。基本的にマスクは、一度外したりずらしたりしたら、新しいものに取り換えることが基本です。マスクを着けた時間の長さで交換頻度を決めるものでもありません。

もちろん、誰かのせきやくしゃみで飛沫が付着した可能性があるときは、すぐに取り換えることが望ましいです」

Q.ネット上には、「一度使用した使い捨てマスクを熱湯で煮沸消毒すると殺菌でき、繰り返し使えるのではないか」という声もあります。煮沸消毒することで再利用できるのでしょうか。

市原さん「新型コロナウイルスには、煮沸消毒やアルコール消毒が有効です。そのため、使い捨てマスクを煮沸することで、ウイルスは除去できますが、煮沸の場合、マスク自体の耐久性が心配です。煮沸するよりは、マスクのアルコール消毒をしっかりする方がいいでしょう。ただ、今回のような緊急時のみにしてください」

Q.以前よりも目にする機会は減ったものの、布マスクも販売されています。布マスクを安心して再利用するにはどのようにすればよいでしょうか。

市原さん「布マスクは洗濯して乾かせば、繰り返し使えるメリットがあります。しかし、洗濯だけではウイルスが除去できるか分からないため、念のため煮沸消毒してから洗濯するといいでしょう。もしくは、洗濯してからアルコール消毒してもよいでしょう」

Q.マスクをどうしても購入できない場合、何らかの代替手段はあるのでしょうか。マスクを手作りするという人もいるようですが、市販品と同じ効果が期待できるマスクを素人が作ることは可能でしょうか。

市原さん「マスクの目的は、飛沫感染やウイルスの付いた手で鼻や口を触ることによる接触感染を防ぐことなので、鼻や口を覆えるものであれば代用は可能です。布でマスクを手作りすることに問題はないと思います」

Q.マスクさえしておけば、新型肺炎に感染するリスクをかなり下げられると思ってよいですか。

市原さん「過信してはいけません。マスクは感染予防に基本的には有効ですが、完全ではありません。基本的なことですが、手洗いを徹底し、鼻や口など顔を不用意に触らないことがとても大切です」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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