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駆け込み増える? 違反したら? 有給5日義務化もうすぐ1年、専門家に聞く

「祝日を出勤日にして有休消化」は無効?

Q.4月になったら、違反している企業にいきなり労働基準監督署がやってきて罰金を言い渡すことがあるのでしょうか。その際、「社員が働きたいと言った」「休めと言ったのに、『仕事があるから』と休まなかった」などと経営者が言った場合、どうなるのですか。

木村さん「労働基準監督官がいきなり訪問して、罰金を言い渡すことはありません。まず、定期的な監督指導の中で、従業員の有給取得状況の実態を把握するために有休管理簿などをチェックし、その結果、有休取得ができていない従業員がいたときは『是正勧告』などの指導を行います。

是正を要する項目は書類でも示されるので、労働基準監督署が指定した期日までに改善した内容を企業側は報告します。そして、複数回指導したにもかかわらず是正を行わない場合は、刑事事件として送検され、最終的には裁判所で罰金の判断が下されることになります。

従業員が仕事の都合などで有給の取得を拒否した場合でも、企業が法律違反を免れるものではなく、労使双方で話し合うなりして取得可能な時季を決めるなどの配慮は必要であり、そのあたりは労働基準監督官からの指摘があるかと思われます」

Q.「駆け込み消化」の動きで、実例や相談例があれば教えてください。

木村さん「就業規則上、土日祝日が休みの会社で、該当する従業員全員に5日間の有休を取得させるのが困難だとして、祝日を出勤日とする就業規則の変更を行った上で、強制的に祝日を有休として取得させることにより、日数を消化した会社があります。その日、会社は休みで稼働していませんでした。

それまで休みだった祝日を出勤日に変更すること自体は法律違反ではありませんが、労働時間や賃金等の条件に変更がない場合は『不利益変更』となり、変更が無効となる可能性があります」

Q.有休が5日取れそうにないのに会社が何もしない、あるいは「取りたい」と上司に言っても年度中に取れそうにない場合、従業員側はどうすればよいのでしょうか。

木村さん「この5日の有休取得制度は法律で定められていることなので、企業としては守らなければなりません。とは言っても、制度そのものを知らなかったり、よく理解していなかったりする企業が多いのが現状です。

そのような企業で有休を取得する方法としては(1)会社(上司)に有休の取得申請をする(2)取得申請が会社に拒まれた場合、年度中いつなら取得が可能なのか確認する(3)(2)を行ったにもかかわらず、有休が取得できなかった場合、社内に相談窓口や労働組合があれば相談する(4)社内に相談窓口や労組がない場合、もしくは相談したが解決できなかったときは労働基準監督署に相談する、となります」

(オトナンサー編集部)

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木村政美(きむら・まさみ)

行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

1963年生まれ。専門学校卒業後、旅行会社、セミナー運営会社、生命保険会社営業職などを経て、2004年に「きむらオフィス」開業。近年は特にコンサルティング、講師、執筆活動に力を入れており、講師実績は延べ700件以上(2019年現在)。演題は労務管理全般、「士業のための講師術」など。きむらオフィス(http://kimura-office.p-kit.com/)。

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