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義父の暴力、多額の借金…家庭トラブルから「過換気症候群」で倒れた3人の男性

男性よりも女性の方がなりやすいといわれる「過換気症候群」、いわゆる過呼吸ですが、男性が夫婦関係など家庭のトラブルが原因で過呼吸になり、倒れるケースもあります。

家庭トラブルが過換気症候群の原因に?
家庭トラブルが過換気症候群の原因に?

 電車の中で他の乗客が突然、呼吸が激しくなり、指先が震え出し、意識があやふやになって倒れ込む。そんな場面に遭遇したことはおありでしょうか。理由はさまざまですが、もし過呼吸だとしたら、その乗客は女性だったのでは。なぜなら、読売新聞の「医療大全」によると、「過換気症候群(いわゆる過呼吸)」の男女比は1対2とされているから。

 過呼吸の原因は不安や恐怖、ストレス、プレッシャー、疲労など主に精神的なものですが、仕事では上司や同僚、顧客、取引先、家庭では配偶者や子ども、学校、習い事、地域のつながりなど…現代社会では、人間関係によるストレスとは切っても切り離せないので、過呼吸は現代病といってもよいでしょう。

 今回はあまり語られることがない、過呼吸を起こした夫(男性)に焦点を当て、夫婦関係など家庭のトラブルを抱えるケースに限定して紹介します。筆者のところへ相談に来た3人の実例をもとに、どこまで追い詰められると危険なのかを掘り下げていきます。

義両親の過干渉から過呼吸に

「精神的なショックから全身がけいれんを起こし、過呼吸になり、救急車で運ばれました。その後の検査で、びらん性胃炎、胃のポリープ、逆流性食道炎、過換気症候群になっていることが分かったんです。診断書も出してもらいました!」

 苦しい胸の内を明かしてくれたのは、1人目の相談者・福川優一さん(仮名、38歳)。優一さんは結婚14年目。2年目に建てた戸建て住宅に妻(36歳)、娘(10歳)と暮らしていたのですが、土地は妻の父親の所有でした。目と鼻の先に妻の実家があるので、事あるごとに妻が両親へ告げ口をし、両親が自宅に乗り込んでくることが続いたそうです。金を出すなら口も出すという感じで、両親が娘夫婦の家庭に干渉してきたのです。

 優一さんが「向こう(両親)に相談するのはやめてほしい」と頼んでも、妻は「誰のおかげで家を建てられたと思っているの? 本当はあんたなんか一国一城のあるじの身分じゃないんだから!」と逆にののしられるばかり。優一さんは住宅ローンを1人で返済しているので、「お前の稼ぎが悪いから!」とばかにされる筋合いはないのに、言いたい放題の妻に言い返すことができず、どんどん精神的に追い詰められていったといいます。

 優一さんが倒れたのは、家を出て妻や両親と距離を置こうとしていた矢先のことでした。

 倒れた当日、朝の6時に父親が乗り込んできて、「娘に非はない。すべてお前が悪い。お前と話すから娘は洗脳されるんだ!」と罵声を浴びせてきたそうです。優一さんは会社へ出勤しなければならないので、「また後にしてください!」と父親の手を振り払うと、今度は父親が優一さんの腕をつかみ返したので転んでしまい、膝にあざができたのですが、このまま父親に付き合って遅刻するわけにはいきません。14年間、積もり積もった不満が当日、限界に達し、過呼吸を起こしてしまったようです。

「向こうから、いまだに謝罪の一つもありません。今でも当日のことを思い出すと、また過呼吸になりそうです。妻は助けてくれず、何もしてくれませんでした。別居じゃなくて離婚も考えています」

 優一さんは覚悟を決めたようですが、両親にとっては世間体が大事なので、娘夫婦が離婚するのは困るでしょう。優一さんの気持ちを察すれば、離婚を思いとどまらせるべく、一時的に優しくしてもよさそうですが、優一さんのためにという発想がないのでしょう。当日に警察を呼び、父親を現行犯で突き出したかったのですが、優一さんは過呼吸で倒れていて無理でした。

 娘さんはともかく、妻や父親、母親が敵という四面楚歌(そか)の状態で、優一さんの協力者は皆無。例の診断書には、加害者の名前までは書かれていないのでDVの事実を証明するのは難しく、離婚にこぎ着けるまでは時間がかかりそう。結局、優一さんは離婚が成立するまでの間、疾患の原因である妻と一つ屋根の下で同じ空気を吸わなければならず、過呼吸が再発する不安にさいなまれながら、日々暮らすことを強いられているのです。

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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