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赤い「×」だらけ…先生の過剰な添削やダメ出しが子どものやる気を奪う、まず褒めよう

「×」は子どもの意欲をそぐ

子どもが書いた「ほ」(立石美津子さん提供)
子どもが書いた「ほ」(立石美津子さん提供)

 次の2枚の用紙を見てください。どちらも同じものです。

 子どもは「ほ」を書いたのですが、ほとんどの「ほ」の右上の部分が「ま」のように飛び出してしまっています。唯一、真ん中の「ほ」だけが突き出ることなく書けています。

 間違って覚えてしまったのか、手先がまだ器用ではなく、うまく書けなかったのかは定かではありません。どちらにしても、おそらく手がたまたま止まり、運よく書けた「まぐれ」だと思います。

 私は今まで、多くの子どもたちに指導をしてきましたが、たくさん「×」を付ける添削をして「こんなに間違えたんだ。今度は直されないように注意して書こう」と奮い立つ子どもには一人も出会ったことがありません。大抵は嫌な顔をして、それ以降やる気をなくします。

 では、どうすればよいのでしょうか。

 赤ペンで真っ赤に直すのではなく、汚い字だと思っても、その中で最もましな文字を見つけて褒めましょう。ポイントは「わあ、この『ほ』、突き出さないで上手に書けたね」と、なぜこの字がよいのか、具体的に言葉を掛けて褒めることです。そうすれば、子ども自身の心に火がつき「もっと褒めてもらおう」と次第にきれいな字を書くようになります。

 文字には「自分で読むこと」「他人に読んでもらうこと」の2つの側面があります。字がきれいだと、人間性も優れているように錯覚することもあります。きれいに書けるに越したことはありませんが、子どもの意欲をそぐような指導はやめてほしいと思います。

成長を褒めてから課題を出す

 子どものやる気や意欲をそぐダメ出しは、他のしつけの場面でもみられます。例えば、食事中に「手づかみしないで」「こぼさないで」「正しく箸を持って」「よくかんで食べなさい」「よそ見しないで」「好き嫌いしないで」とダメ出しされたら、どうでしょうか。食欲が減退し、食べる楽しみがなくなってしまいます。

 しかし、行儀が悪くならないようにしつけをする必要はあります。そんなときは「嫌いなブロッコリーを一口食べたね」「お箸、昨日よりも上手に持てるようになったね」と、まず成長した点を褒めてから課題を出します。1週間に1つずつ課題を出すというように、短期間で多くのことを望まない方がよいでしょう。

 必要以上に細かく添削をしたり、ダメ出しをしたりするのは、先生や親にとって労力がかかること。子どもにとっても嫌なことなのでやめた方がよいと思うのですが、皆さんはどうお感じになりますか。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)。

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