年収2300万円医者と離婚、39歳女性が「養育費」の安定的支払いを勝ち取るまで(下)
「医者」と離婚するということはどういうことなのか。年収2300万円の開業医と離婚した39歳女性のケースから考えます。
「子どものため」が裏目に出て…
里美さんは現在、別の病院で医療事務の仕事をしているのですが、毎月の手取り収入は21万円。家賃や生活費を除くとほとんど余裕はなく、夫からの生活費なしに中学の授業料を支払うのは難しい状況です。このままでは、学費滞納で中途退学せざるを得ません。
先述通り、里美さん夫婦は娘さんに大学付属の私立幼稚園を受験させたのですが、正直、当初から夫は乗り気でなかったそう。「公立でいいだろう。俺もそうだったんだから」。それでも里美さんが「莉乃のため」と言い、少し強引に押し通したという経緯があるそうで、夫はそのことを踏まえた上で「だから言ったじゃないか!」と逆上したのです。
せっかく幼稚園を受験して合格したのに、親の都合(学費未払い)で公立へ転校を余儀なくされたら、娘さんはどうなるでしょうか。娘さんが「いくら頑張っても見えない力が働いて努力が無駄になる」と思えば、今後の人格形成に悪影響を与えるでしょう。しかも、今まで通い慣れた学校、仲良くなった先生や友達、顔見知りになった通学路を失うのだから当然のことです。
さらには、転校した学校で偏見の目で見られ、差別の対象になり、いじめに遭うことが予想されるので、里美さんは夫に「子どものため」を前面に出して生活費の支払いを求めたのですが、残念ながら裏目に出たのです。そこで、筆者は「子どものため」ではなく、「自分(夫)のため」という点を強調した方がよいのではと入れ知恵しました。
多くの医者はプライドが高いのですが、「反対を押し切って受験させたこと」を今でも根に持っていることから、里美さんの夫も同じです。だからこそ、話をまとめるときも、「プライドの高さ」に焦点を当てるのが大事です。
「○○ちゃんは学費を払えなくて学校を辞めたらしいよ」。そんなふうに、学校や近所、親戚中でうわさをされたら、夫のプライドはどうなるでしょうか。「開業医で十二分にお金を持っているのに娘の学費を滞納し、中途退学に追い込んだ最低最悪な父親」と醜聞を広められるのは耐え難い屈辱でしょう。
筆者は「今回の件を言いふらされたくなければ、月30万円を支払ってほしい」という具合に、生活費の再開は「子どものため」だけでなく「自分(夫)のため」という切り口で説得した方が得策だろうと言い添えました。
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