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異物誤飲 子どもの周りには危険がいっぱい!【ぼくの小児クリニックにようこそ】

コイン型リチウム電池は危険

 極めて危険なのは、コインの形をしたリチウム電池です。飲み込むと食道の途中で引っ掛かり、そこで放電して、あっという間に潰瘍を作ります。処置は、全身麻酔をかけて内視鏡で取り出すことになります。しかし、素早く処置しても既に潰瘍を作っていることがあり、いったん潰瘍ができるとその部位が治る過程で「瘢痕(はんこん)」と呼ばれる痕が残り、食道が狭窄(きょうさく)状態に変化します。

 食道狭窄を治すには、長期の入院と繰り返しの治療が必要になります。リチウム電池は本当に危険です。飲んだと思ったら、救急車を呼ぶか、すぐに対応してくれるかかりつけ医に駆け込む必要があります。待合室で待っている間にも、どんどん潰瘍は進行します。受付でリチウム電池を飲み込んだ可能性があることを必ず知らせてください。

 胃に落ちた異物で唯一処置が必要なのは、ボタン型のアルカリ電池です。胃の中でアルカリ成分が溶け出し、やはり、潰瘍を作ります。処置はマグネットカテーテルを使い、麻酔はかけません。先端に磁石が付いたカテーテル(管)を口から入れて、胃の中に誘導します。磁石にピタリとボタン電池がくっつけばそのまま、口から引き出します。

 もう一つ、貼るタイプの磁気治療器を2個以上飲み込むと異物が小腸にまで進んでいき、小腸と小腸を磁石がくっつけてしまうことがあります。すると、小腸に穴が開いたり、腸がねじれたりします。もちろん、腸の穿孔(せんこう)や捻転が起きれば緊急開腹手術ですが、何も症状がないときは、入院して1日1回、腹部エックス線写真を撮影し、磁石が排せつされるのを待ちます。

 誤飲する可能性のある物は、お子さんの手の届くところに置かないでくださいね。直径が45ミリ(人さし指の第二関節から先端の長さ)を超えていれば、お子さんの口に入らないでしょう。

(小児外科医・作家 松永正訓)

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松永正訓(まつなが・ただし)

小児外科医、作家

1961年東京都生まれ。1987年千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。日本小児外科学会・会長特別表彰(1991年)など受賞歴多数。2006年より「松永クリニック小児科・小児外科」院長。「運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語」で2013年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社)などがある。

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