オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

エリート球児だった46歳議員秘書と妻の離婚…選挙を通して見えた職業ゆえの特殊性

「議員」という職業の特殊性

 ここまで、夫が選挙に立候補したせいで離婚した里穂さんのケースを紹介してきましたが、議員がいかに浮世離れしているのか…一般的な会社員と比べると一目瞭然です。具体的には、立場の不安定さ、家族の負担の大きさ、プライバシーの低さの3つです。

 まず立場の不安定さです。会社員の場合、人事考課に応じて給与や賞与が増減しますが、せいぜい数%から数十%です。評価の良し悪しで、突然、首を切られる心配はほとんどありません。

 一方、(国会)議員の場合、歳費として年間2200万円が保証されていますが、選挙で落選すれば(議員以外の収入がなければ)いきなり0万円です。昨日まで有職だったのに今日から無職という転落は、会社員では起こりにくいもの。議員の立場は選挙に左右されるので、選挙への依存が大きく、あまりにも不安定です。

 次に家族の負担の大きさですが、会社員の場合、手持ちのお金を公私混同するのはご法度です。仕事に必要な広告宣伝費や交通費、人件費について自腹を切ることはありません。一時的に立て替えるにしても最後は会社が精算してくれます。

 一方、議員の場合、手持ちのお金を公私混同するのは当然です。ポスターの作成や選挙カーのレンタル、選挙事務所の人件費などは自己資金で何とかしなければなりません。資金が足りなければ選挙の応援を妻や子どもに頼んだり、親戚や旧友、元同僚などをかき集めたりするのですが、もし会社員が仕事に家族を巻き込んだら総スカンを食らうでしょう。議員だから許される特殊な環境です。

 そして、プライバシーの低さですが、会社員の場合、会社と家庭は別ものです。社員の住所や固定電話の番号、妻の名前や子どもが通っている学校を把握しているのはせいぜい人事部のみ。直属の上司でさえ、口を滑らせない限り、部下の個人情報を聞き出すことははばかられるご時世です。

 一方、議員の場合、仕事と家庭は一体です。議員の家族は選挙区に住んでいるので、常に選挙民に見張られている衆人環視の状態。個人情報だからという理由で、小学校の緊急連絡網から「住所」が削除されて久しいですが、自宅と事務所が同じなら、選挙期間中、住所は公開されています。

 さらに、「いい夫」「いい妻」を演出しようと事務所のホームページに家族全員の写真を掲載しようものなら大変です。元々、議員は落選者に逆恨みされやすい立場。これでは、個人情報を悪用されても文句は言えないでしょう。

 議員の不祥事はいちいちニュースになるので目立つのですが、風俗嬢を買春、一般女性に性的暴行、酩酊(めいてい)状態で暴言…今年に入っても不祥事のオンパレードです。このように考えると、議員が「ごく普通のまともな家庭」を持ち、続けるのは、会社員に比べてはるかに難易度が高いと言わざるを得ないのです。

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

1 2 3 4 5

露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

コメント