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給食「完食指導」の被害者は生徒だけではない、先生にのしかかる“能力不足”の重圧

短い給食時間も先生を追い込んでいる

「残飯減らそう週間」のような取り組みは悪くはないですし、そうした取り組みで食品廃棄物が減るのならば、望ましいことかもしれません。しかし、学校給食法2条の「学校給食の目標」には、「なるべく残飯を減らすこと」「残さず食べられるようになること」などの記述は一切ありません。それにもかかわらず、学校の方針や取り組み、周りの先生からの圧力によって、クラスの給食の残飯が多いことによる、自分の「指導力不足」を感じてしまう先生が多いのです。

 公立小学校の給食時間は20分、中学校では15分というケースも多く、給食直前の4時間目に教室移動があれば、さらに短くなることも考えられます。「小学校給食における喫食時間と残食率の関連性の検討」という論文によると、「給食の時間が長くても、残食率が減るわけではない」という研究結果が出ていますが、給食時間が短いことの焦りから、先生の指導が雑になったり、高圧的になってしまったりする可能性はあるかもしれません。

 また、先生たちが「適切なやり方が分からない」ことから、給食時の指導を強めてしまう可能性もあり得るでしょう。クラス分けのときに「給食をよく食べる子とあまり食べない子を均等に分ける」といった配慮があるわけではないので、給食をあまり食べない子がクラスに多いだけで「指導力があるのか」と言われてしまう先生も大変気の毒だと思います。

 近年、学校給食におけるトラブルが問題視されることが増えてきたので、多くの学校で「とにかく食べろ」という昔ながらの指導ではなく、「子どもの個性」を尊重する指導法へと切り替わってきていると感じます。とはいえ、まだ全ての学校で、とはいかないようです。

 給食の指導について、子どもを第一に考えることはもちろん大切ですが、子どもたちを支えているクラスの先生への配慮も学校全体として必要なのではないでしょうか。配慮があるのとないのとでは、クラスの先生の負担が大きく違うと思います。

(日本会食恐怖症克服支援協会 山口健太)

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山口健太(やまぐち・けんた)

月刊給食指導研修資料(きゅうけん)編集長、株式会社日本教育資料代表取締役、一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会代表理事

人前で食事ができない「会食恐怖症」の当事者経験から、食べる相手やコミュニケーションの違いによって食欲が増減することを実感。既存の「食べない子」への対処法に疑問を感じ、カウンセラーとして活動を開始。「食べない子」が変わるコミュニケーションノウハウの第一人者として、延べ3000人以上の相談を受ける。著書に海外でも翻訳出版されている「食べない子が変わる魔法の言葉」(辰巳出版)などがあり、給食指導などの研修を保育所や学校などの栄養士・教職員に向けて行っている。「目からうろこの内容」と言われるほど“とにかく分かりやすい解説”と、今日からすぐに使える実用的な内容が特徴。月刊給食指導研修資料(きゅうけん)

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