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給食「完食指導」の被害者は生徒だけではない、先生にのしかかる“能力不足”の重圧

先生も好き好んで過剰な「完食指導」をしているわけではありません。周囲のプレッシャーから完食指導をしてしまうことがあり、ある意味、先生も被害者という側面もあるようです。

「いっぱい食べさせなきゃ」とプレッシャーを感じる先生も…
「いっぱい食べさせなきゃ」とプレッシャーを感じる先生も…

 学校給食を残さず食べるよう強引に指導する過剰な「完食指導」が原因で、子どもたちが体調を崩したり不登校になったりするなど、さまざまなトラブルが起きています。そうしたトラブルは、学校や先生側の責任と思われがちですが、すべての先生が好き好んで過剰な完食指導をしているわけではありません。筆者は、給食の問題全般の相談を受けていますが、学校の先生からの相談もあります。今回は、過剰な完食指導が行われる、先生側の背景について触れます。

「プレッシャーで、ついおかわりを強制」

 完食指導の中には「給食ハラスメント」とも呼ばれるほどの、先生側から児童・生徒への嫌がらせ、体罰のような事例があります。一方で、「完食指導をしたくないのに、どうすればよいのか分からず、結果的にせざるを得なくなった」という先生たちもいるのです。

 ある中学校の先生から、次のような相談が寄せられました。

「うちの学校給食では『残飯減らそう週間』のような取り組みがあるので『いっぱい食べさせなきゃ』というプレッシャーを感じることがあります。

その一方で『どうしたら生徒たちが給食を残さずにいっぱい食べてくれるのか』がよく分からず、ついおかわりを強制してしまいたくなります。

また、そうした取り組みの中で、自分の担任のクラスの残飯が多いときに、別のクラスの先生から『指導力不足』を指摘されたこともあります。

自分が子どもの頃は、学校給食が楽しみな時間だったのに、先生となった今では苦痛になっています」

 先生の機嫌の良しあしは、そのクラス全体の雰囲気へとつながります。先生がピリピリ、イライラすることで、クラスの雰囲気が重くなってしまえば、食欲が湧かない子が出てくるのも無理はなく、さらなる悪循環に陥ってしまう可能性があります。

 一般的に「給食指導についての研修」といった研修をしている学校は少ないので、このような相談が届くのも無理はないと思います。こうしたことを踏まえると、この問題は先生側も被害者といえるのかもしれません。

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山口健太(やまぐち・けんた)

一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会代表理事

人前で食事ができない「会食恐怖症」の当事者経験から、食べる相手やコミュニケーションの違いによって食欲が増減することを実感。既存の「食べない子」への対処法に疑問を感じ、カウンセラーとして活動を開始。「食べない子」が変わるコミュニケーションノウハウの第一人者として、延べ1000人以上の相談を受ける。「楽しく食べられる」ようになる道筋を理論的に分かりやすく明示することで「食べない子」の問題を解決しながら、「食べない子」の親の肩の荷がおり、心が楽になるメソッドが特徴。カウンセリングや講演活動を通して「食べない子」に悩むお母さんや学校・保育園の先生などにメッセージを伝えている。著書に「食べない子が変わる魔法の言葉」(辰巳出版)。

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