オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

元夫に養育費を止められた年収80万円パート女性、法改正で夜の世界を辞められるか

元夫の住所を知って安堵していたが…

 元夫の現住所が分からない場合、どうしたらよいのでしょうか。戸籍の附票には、出生から現在までの住民票の履歴が書かれています。元夫は再婚し、住民票を移したのでしょうが、戸籍の附票を手に入れれば、現在の住所を知ることができます。戸籍の附票は元夫の住所地ではなく、本籍地の役所が発行します。元夫の本籍地は恐らく、美鈴さんと結婚、離婚し、別の女性と再婚しても変わっていないはずです。本籍地は調停調書に書かれていたので、美鈴さんは本籍地の役所へ戸籍の附票の発行を頼むことにしました。

 今では個人情報保護法があり、美鈴さんと元夫は「元夫婦」という間柄です。一方、娘さんは、離婚しても親子であることに変わりはありません。そのため、筆者は美鈴さんに「申請者は美鈴さんではなく、娘さんの名前にしておき、美鈴さんは親権者として代理しているという形にしてはどうでしょうか。申請の理由は『裁判所に提出するため』と書くと怪しまれにくいでしょう」と勧めたのです。

 しかし、役所の担当者の計らいで、このような工夫をせずとも、「そんなに困っているなら」と戸籍の附票を発行してくれたそう。こうして元夫の現住所を把握することに成功したのです。

 そして、ようやく地方裁判所が債権差し押さえ命令の申し立てを行い、ついに養育費の支払いが復活すると美鈴さんは安堵(あんど)していたのですが…職場の担当者は裁判所に「該当者(元夫)は在籍していないので給与や賞与の差し押さえには応じられない」と回答してきたのです。美鈴さんが申立書に記入した職場の会社名、そして添付した職場の商業登記簿謄本は離婚時、元夫が勤めていた会社のものでした。どうやら、元夫は離婚後の4年間で当時の会社を辞め、別の会社へ転職していたのです。

 美鈴さんは再度、元夫へLINEでの連絡を試みました。元夫も、養育費を踏み倒すために会社を辞めたわけではないでしょう。元夫は自分の先行きについて不安に思っているでしょうから、「あなた(元夫)のことを心配しています」と下手に出て、何とか再就職先を聞き出そうとしたのです。また少なくとも、美鈴さんより娘さんのことを気にしているでしょう。例えば、元夫が会社を辞めたことで娘さんが先行きを悲観していることを伝え、娘を安心させるために新しい職場を教えてほしいと訴えたのです。

 しかし、これらのやり方は功を奏さず、元夫が返事をしてくることはありませんでした。元夫から聞き出す以外の方法としては、元夫の現住所は特定できたのだから、元夫が朝、出勤するところを発見し、職場まで尾行していくという手もあります。しかし、素人の美鈴さんが元夫に気付かれず、また元夫を見失わずに尾行を成功させるのは至難の業です。元夫の尾行を頼もうにも、探偵や興信所へ依頼すると料金は50万円を超えることが多く、明日の生活にすら困っている美鈴さんが出せる金額ではありません。

 結局、美鈴さんは養育費なしで生活することは難しく、だからといって娘さんを路頭に迷わせるわけにはいかないので、風俗の面接を受けざるを得なかったようです。

1 2 3 4

露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

コメント