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入社直後に退職したり、入社直前に内定辞退する新入社員 法的に問題はない?

採用や研修の費用は請求できる?

 一方で、新入社員から内定辞退や退職の申し出を受けた場合、企業側はどのように対応すればよいのでしょうか。

Q.採用や研修に多額の費用をかけたにもかかわらず、入社直前の内定辞退や、入社後数日での退職の申し出があった場合、人員の補充が完了するまで引き止めることは可能でしょうか。また、採用などにかかった費用などを請求することはできますか。

刈谷さん「引き止めを伝えることは可能ですが、内定者(労働者)が内定辞退や退職を申し入れてから2週間経過することによって、労働契約は解約となります。内定者(労働者)が内定辞退や退職の申し入れを撤回しない限り、2週間の経過で内定辞退(退職)となることはやむを得ません。また、採用などにかかった費用などを請求することは、信義則に反する形での場合には、可能な場合もあり得ます」

Q.入社直前での内定辞退や、入社直後の退職を申し出た新入社員を無理やり引き止め、損害や精神的苦痛を与えてしまった場合、訴訟のリスクは。

刈谷さん「内定者(労働者)には法律上、解約の自由が認められていますので、訴えられるリスクはあります」

Q.もし、新入社員が音信不通となった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。身元保証人が親や親族の場合、その人たちに補償を求めることは可能でしょうか。

刈谷さん「いわゆる『とんだ』と思われる場合であっても、電話以外にメールや手紙などでの連絡、自宅への訪問など、すべて証拠に残す形で、企業から積極的に対処することが必要です。それでもなお音信不通の場合に初めて、やむなく解雇という選択肢が出てくることになるでしょう。急病や予期せぬ犯罪に巻き込まれたなどの事情があり得るからです。

実際、判例上、試用期間の社員を対象としたものではありませんが、社員が出勤しなかったことについて特に企業側から注意をしていなかったため、懲戒解雇が無効となったケースがあるほどです。

なお、音信不通だけでは、無断欠勤の期間の給料が支払われないだけです。特段、会社に損害が発生したなどの事情がない限り、身元保証人が賠償する話にはならないでしょう」

Q.新入社員の突然の内定辞退や退職を防ぐために、企業側が気を付けなければならないことは。

刈谷さん「採用段階での選考を適切かつ厳格に行い、応募者の人となりをできる限り見極めて内定を出すしかないでしょう。また、内定時に伝えていたことと、その後の研修や入社時の現状に齟齬(そご)がないよう努めるべきだと思います」

(オトナンサー編集部)

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刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。

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