妻と元彼の子を自分の息子として育てた36歳男性、幸せを願い自ら身を引くまで(下)
自分と妻の子どもだと思っていた息子が、実は妻と元彼の子どもだと判明したとき、夫はどのような決断を下すのでしょうか。36歳会社員男性のケースを紹介します。

自分と妻の子どもだと思っていた息子が、実は妻と元彼の子どもだと分かった36歳男性のケース。後編の今回は、妻が息子を連れて実家へと戻った後、男性のもとに裁判所から見慣れない手紙が届きます。
裁判所から届いた2通の手紙
「いい加減にしろよ! お前、自分が何をやっているか分かっているのか? これ以上、振り回されるのはこりごりだからな!」
普段は怒らない夫が今、怒っている。そんな緊迫の局面に遭遇すれば、「やばい!」とスイッチが入り、しおらしく謝ったり、涙を流したり、腰を低くしたりして空気を読みそうなものです。しかし、妻はまるで「この程度のことで怒る夫の方が悪い」という感じでわが振りを直そうとせず、ただただ逆ギレするばかりで、現実から逃避したがったのです。
具体的には、翌日に荷物をまとめ、息子さんを連れて実家へ戻ったのですが、圭史さんが家出を察するのは難しく、もちろん、圭史さんに無断で決行したので前もって防ぐのは不可能でした。さすがの圭史さんも「離婚」の2文字を覚悟せざるを得ませんでした。
それから2カ月。圭史さんも手をこまぬいていたわけではなく、何とか妻子を連れ戻そうと足しげく通い続けたそうです。しかし、義父は「お前と話すことはない」の一点張りで門前払いの繰り返し。何の進展もないまま時間ばかりが過ぎていったのです。
そして、自宅に1人取り残された圭史さんのもとに、2通の手紙が届きました。差出人はどちらも「家庭裁判所」。2通に共通するのは、それが「調停」だということ。調停とは、裁判所内で調停委員や裁判官を交えて話し合う制度です。
一通は離婚調停への呼び出しでした。いまだに離婚を受け入れず、元鞘に戻ろうとする圭史さん。妻はこれ以上、話し合ってもらちが明かないと思ったのか舞台を裁判所へ移してきたのですが、もう一通は何だったのでしょうか。そこに書かれていたのは「親子関係不存在確認」の調停。一見、聞き慣れない漢字9文字ですが、これは一体、何なのでしょうか。
まず、現在、戸籍上の親子になっている父と子がいるとします。そこで、利害関係者が「父と子が本当に親子なのか」と疑問を抱いたとき、裁判所で親子関係の有無について結論を出すという制度です。具体的には、父と子がDNA鑑定を行い、科学的な視点で本当に親子かどうか確認します。
つまり、DNA鑑定の結果、圭史さんと息子さんが「親子ではない」と認定されれば、今まで親子だった2人は明日から赤の他人に成り下がることを意味します。過去6年間、圭史さんはその子のことを「実の息子」だと思い、息子さんも圭史さんのことを何の疑いもなく「お父さん」だと思っていたでしょう。今まで一緒に分かち合ってきた喜怒哀楽は無意味と化すのです。
圭史さんは裁判所からの手紙を見るやいなや、わなわなと手が震え、一気に体中が熱くなり、頭に血が上ってしまったそうです。過去の経緯を考えると、無理もないでしょう。なぜなら、圭史さんは6年もの間、ずっと「本当に自分の子なのか」と疑いながら過ごしてきたのだから。
百歩譲って、圭史さんの側から「親子関係不存在確認」の調停を申し立てるのなら、まだ話は分かります。しかし、実際には妻の方から先んじて申し立ててきたのだから、圭史さんのショックは計り知れません。今まで妻が罪に問われなかったのは、圭史さんが「あえて」何も言わなかったからなのに、恩を仇(あだ)で返された形です。
別のオトコと肉体関係を結んでおきながら、他人の子を育てさせておきながら、そして、勝手に出て行っておきながら、「アンタはもうお役御免だわ」と言わんばかり。「何様なんだ!」と圭史さんは怒り心頭でした。
これって、妻と元カレは夫に慰謝料払わなきゃ済まない事案ですが、記事で何も触れてないのがモヤモヤする。