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入浴後、タオルで「頭」ゴシゴシ…抜け毛、薄毛リスク増 意外と知らない「髪の正しい乾かし方」

入浴後の髪の正しい乾かし方について、美容外科医が解説します。

髪をうまく乾かす方法は?
髪をうまく乾かす方法は?

 入浴後、髪をしっかり乾かさないと、髪の傷みや頭皮のかゆみなどを引き起こすといわれています。髪を早く乾かそうと、ついバスタオルで頭をゴシゴシ拭いてしまうことはありませんか。この場合、髪や頭皮にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。髪の正しい乾かし方も含め、美容外科「SOグレイスクリニック」(東京都品川区)院長で美容外科医、脳神経外科専門医、医学博士の近藤惣一郎さんが解説します。

髪をぬらすとキューティクルが開き傷みやすくなる

 洗髪後にタオルで髪と頭皮をバスタオルでゴシゴシと強く拭くのは、良くありません。その医学的、科学的な理由として次の4点が挙げられます。

■髪に悪影響(キューティクルの損傷)
髪の表面は、ウロコ状の「キューティクル」というもので覆われ、内部を保護しています。髪が水にぬれると、キューティクルは開いた状態になり、柔らかく、非常にデリケートで傷つきやすい状態になります。

もしぬれて開いたキューティクルにタオルでゴシゴシと強い摩擦を加えると、キューティクルがはがれたり、損傷したりします。一度はがれたキューティクルは自然再生しません。

■髪にダメージ
キューティクルが損傷すると、髪内部の水分や栄養分が流出しやすくなり、パサつきやツヤの低下、ゴワつき、枝毛、切れ毛、カラーの退色などの原因となります。

■頭皮への悪影響
ゴシゴシと強く拭くことで、デリケートな頭皮に細かい傷をつけてしまう可能性があります。特に爪を立ててしまうと、炎症やかゆみ、フケなどの原因になり、ひどい場合は抜け毛や薄毛の進行につながる可能性もあります。

■血行不良
ぬれた頭皮は体温が下がりやすく、血行不良を招く可能性があります。血行が悪くなると、髪の成長に必要な栄養が毛根に行き渡りにくくなります。

 髪と頭皮の健康を守るためには、「こすらず、優しく水分を吸い取る」ことが重要です。ここからは髪の正しい乾かし方について、解説します。

【ステップ1:タオルドライをしっかり行う】
(1)髪の水気を絞る

まず、両手のひらで髪を挟み、根元から毛先に向かって優しく押し絞り、大まかな水気を取ります。これにより、タオルの吸水を助け、ぬれた状態の時間を短縮します。

(2)頭皮の水分を絞る
手のひらで水気を絞ったらタオルを頭にかぶせ、指の腹で頭皮を軽くもみ込むように、または優しくポンポンと軽くたたくようにして、頭皮の水分を吸収させます。これにより頭皮の血行を促進しつつ、摩擦を避けて根元を乾きやすくします。

(3)毛先の水分を取る
髪の毛束をタオルで優しく挟み、ポンポンとたたくように水分を吸い取ります。その際、開いたキューティクル同士の摩擦を防ぎ、はがれを予防するため、タオルで挟んだまま下にスライドさせないように注意してください。毛先から水滴が落ちない程度に水分を取れたら完了です。タオルドライのときに吸水性が高いタオルを使うと、摩擦を減らしつつ、効率的に水分を取ることができます。

 なお、ドライヤーを使う前にドライヤーの熱ダメージから髪を守るための準備をしましょう。手順は次の通りです。

【ステップ2:ドライヤー前の下準備】
(1)保護剤を塗布

ヘアオイル、ミルクなどの洗い流さないトリートメントを、中間から毛先を中心に塗ります。この作業によりドライヤーの熱や乾燥から髪表面をコーティングし、キューティクルの損傷を防ぎます。

(2)髪を整える
目の粗いコームや手ぐしで、優しく毛先から順に絡まりをとかします。これにより髪を乾かしやすくなり、乾いた後の絡まりや摩擦を防ぎます。

【ステップ3:ドライヤーで乾かす】
長時間熱を当てると髪が傷むため、「素早く」「正しく」乾かすことが重要です。根元から毛先に向かって乾かすのが鉄則です。

(1)根元から乾かす
最も乾きにくい、そして雑菌が繁殖しやすい頭皮と根元から先に乾かします。手で髪をかき分け、頭皮に風が届くようにドライヤーを当てます。

(2)ドライヤーの距離と角度
ドライヤーは髪から15〜20センチ程度離し、常に小刻みに振りながら温風を当てます。熱が一点に集中するのを避け、髪と頭皮への熱ダメージを軽減させることができます。

(3)毛先を乾かす
根元が乾いたら、中間から毛先に向かって風を当てます。このとき、キューティクルの向きに沿って上から下へ風を流すようにすると、キューティクルが整いやすくなります。

(4)冷風で仕上げ
全体が8〜9割程度乾いたら、冷風に切り替えて全体に風を当てます。冷風によって開いていたキューティクルが引き締まり、ツヤが出て、内部の水分や栄養分を閉じ込めます。

 この手順で、ぬれている時間を最短にし、摩擦と熱ダメージを抑えることで、髪と頭皮へのダメージを最小限に抑えながら、健やかな状態を保つことができます。これが髪を美しく保つ秘訣(ひけつ)です。

【豆知識】「えっ…!」 これが髪の“正しい乾かし方”です!

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近藤惣一郎(こんどう・そういちろう)

美容外科「SOグレイスクリニック」院長、美容外科医、脳神経外科専門医

1988年に京都大学医学部卒業後、脳神経外科専門医として脳卒中、脳腫瘍などの診療に約20年従事。後遺症や救えない命に対して医療の限界を感じるようになる中、「医療の力で顔や体の悩みを解決することができれば多くの人を喜ばせることができる」と確信し、2007年に美容外科医に転身。2010年、美容外科「SOグレイスクリニック」を開業。業務の傍ら、“ロンリー侍ドクター”としてテレビ番組に多数出演。SOグレイスクリニック(https://so-graceclinic.com/)。

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