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原材料費の高騰だけじゃない…「飲食店」がつぶれやすいのはなぜ?【専門家が解説】

飲食店の経営が難しいのはなぜなのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントに聞きました。

「飲食店」がつぶれやすいのはなぜ?(画像はイメージ)
「飲食店」がつぶれやすいのはなぜ?(画像はイメージ)

 以前から「飲食店は経営が難しい」といわれていますが、近年は原材料費やアルバイトの人件費の高騰などの影響で、閉店する飲食店が増加しています。帝国データバンクの調査によると、2024年の飲食店の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は、前年比16.4%増の894件で過去最多を更新したということです。繁華街を歩いているときに「いつの間にか、お気に入りの飲食店が閉店していた」というケースに遭遇したことがある人は多いと思います。

 そもそも、飲食店がすぐに閉店しやすいのはなぜなのでしょうか。厳しい状況の中でも行列が絶えない飲食店や予約が取りにくい飲食店がありますが、すぐに閉店する飲食店とは何が違うのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

開店してから1年以内に閉店する確率は30%

Q.「飲食店は閉店しやすい」「飲食店経営は難しい」という話をよく聞きますが、本当なのでしょうか。理由も含めて、教えてください。

成田さん「『飲食店は閉店しやすい』『飲食店経営は難しい』という話は本当です。実際に中小企業庁が公表する資料によると、飲食業の廃業率は全業種の中でも常に上位にあります。一般的には、開業から1年で30%程度が廃業しています。さらに言えば、3年で50~70%、10年で90%程度が廃業するともいわれています。

廃業の要因は多岐にわたりますが、準備不足の状態での安易な開業や経営能力不足、資金繰りの悪化などが大きな要因でしょう」

Q.開店してから半年以内に閉店する飲食店もあります。飲食店がすぐに閉店するケースが比較的多いのはなぜなのでしょうか。

成田さん「開店してから半年以内に閉店する飲食店が比較的多い最大の要因は、経営が軌道に乗る前に開業準備資金を使い切ってしまうことです。例えば、内装工事や厨房設備の設置など、開業に多額の資金がかかることに加え、開店してからしばらくは店の家賃や正社員の人件費、減価償却費といった固定費が売り上げを上回り、赤字の状態が続きます。

飲食業は食材の仕入れ費や光熱費、アルバイト人件費などの変動費も高く、利益率が低いため経営難易度が高い業種です。特に近年は円安の影響や米価格の高騰などが原因で、食材の仕入れにかかる費用が増加傾向にあります。黒字化する前に資金が尽きてしまい、短い期間で閉店するケースが必然と多くなるのでしょう。

飲食店は資金があれば容易に開業できるため、その分、競合店は多いです。そのため、仮に原材料費が高騰していなくても、飲食店経営は顧客のニーズをくみ取る力や魅力的なメニューの作成などの経営能力が必要となります」

Q.ラーメンや焼き肉など、取り扱う料理によって閉店のしやすさに差はあるのでしょうか。

成田さん「取り扱う料理によって閉店のしやすさに差はあります。例えば、ラーメンの場合は、開業のハードルが低く参入店が多いため競争も激しく、固定客がつかない場合は早期閉店になりやすいですね。

焼き肉店の場合は排気設備などの初期投資が重く、仕入れ原価も高いため、売り上げが伸びない場合は早期閉店もあり得ます。また、最近ではコロナ禍後の宴会離れや若者の飲酒離れなどにより、居酒屋業態の閉店リスクも高まっています」

Q.原材料費やアルバイトの人件費の高騰など、厳しい状況の中でも行列が絶えない飲食店や予約が取りにくい飲食店があります。人気店に成長する飲食店とすぐに閉店する飲食店は何が違うのでしょうか。

成田さん「人気店に成長する飲食店とすぐに閉店する飲食店の違いは、ズバリ『総合力』です。飲食店は料理や接客、しつらえ、価格、空気感など、あらゆる要因を結集した総合力を、お客さまが『居心地が良い』『また来たい』と感じるかどうかで違いが出てきます。さらに言えば、この要因のバランスが良かろうが悪かろうが、一定の総合力によって顧客のリピート率が高くなれば、必然的に人気店になっていくでしょう。

ただし、先述のように、飲食店経営は難易度が高い業種のため、早期閉店も多いです。今後、飲食店を経営したい場合、飲食店経営に詳しい専門家に相談するなどして、失敗しない店作りを目指してほしいと私は考えます」

(オトナンサー編集部)

【豆知識】「えっ…意外と多い」 これが飲食店がつぶれやすい“原因”です

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成田良爾(なりた・りょうじ)

飲食店専門経営コンサルタント

ヴィガーコーポレーション代表取締役。厚生労働省公認レストランサービス技能士(国家資格)、文部科学省後援サービス接遇検定準1級、食生活アドバイザー2級、他。飲食業界25年以上。ミシュランガイド掲載の高級レストランから個人経営の小さな大衆店まで幅広いジャンルの飲食店に携わり、その経験に基づく統計解析および枠にとらわれないアイデアで多くの赤字店を黒字化させてきた実績を持つ。「100年続く店づくり」をモットーに、次世代育成や飲食業の働き方改革などにも力を入れており、食文化普及の他、職業訓練校講師(フードビジネス科)や子育て女性就職支援事業講師なども歴任。現在も多くの飲食店経営者のサポートを手掛ける。飲食店専門のコンサルティング「オフィスヴィガー」HP(http://with-vigor.com/)。

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