オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

食べにくい…カフェ&ファストフード店が“座りにくい椅子”を置くのはなぜ? 実は回転率向上だけじゃなかった

顧客満足度が下がるリスクがある中、飲食店があえて座りにくい椅子を置くのはなぜなのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントに聞きました。

ファストフード店やカフェの一部の店舗が座りにくい椅子を置くのはなぜ?(画像はイメージ)
ファストフード店やカフェの一部の店舗が座りにくい椅子を置くのはなぜ?(画像はイメージ)

 食事を短時間で済ませたいときや、友人とゆっくり話をしたいときに便利なのがファストフード店やカフェです。一方、ファストフード店やカフェの中には座板部分が硬い木で作られており、長時間座るのに適していない椅子や、座面が小さく、座り心地が良くない椅子が置かれていることがあります。顧客満足度が下がるリスクがある中、飲食店があえて座りにくい椅子を置くのはなぜなのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんが解説します。

椅子やテーブルは店の雰囲気に影響を及ぼす重要なアイテム

 座りにくい椅子が置かれているのは、主に低価格帯の店など、客が「座り心地の良さ」を必要以上に求めない飲食店に多いです。そうした店では、店側が座り心地にこだわらず、機能性や利便性を重視した椅子や安価な椅子を設置するケースが多いと考えられます。

 大手ファストフード店や一部のカフェが座りにくい椅子を置くことに関して、ネット上では「回転率を上げるため」「長居されたくないため」という情報が散見されます。確かに、椅子の座り心地が悪いことで、食事が終わっても長居したくない気持ちにさせ、席の回転率が向上することはあります。

 しかし、実際には、店内の雰囲気づくりや機能性、利便性、費用削減など総合的に検討して椅子を選んでおり、回転率を上げるためだけに座り心地の悪い椅子を設置することはないでしょう。もちろん、多くの場合、椅子による回転率の変化も判断材料にしていると考えます。

 飲食店にとって椅子やテーブルは、その店の雰囲気、機能性、オペレーションの利便性、席効率など、さまざまな場面に影響を及ぼす重要なアイテムです。

 良質な椅子を設置しても、その店の雰囲気やターゲット客に合わない場合は、リピート率が悪いなどの大きなデメリットになる可能性もあります。座り心地が良いとされる椅子は、導入費やメンテナンス費も高額になりますが、その店に合っていなければ費用をかけても無駄になります。

 座り心地が悪いとされる椅子の場合でも、角打ち(酒店の飲食スペース)がビールケースを椅子にすることがあるように、その店の雰囲気やターゲット客にマッチしていれば、雰囲気づくりや経費削減などのメリットとなり得るでしょう。

 椅子やテーブルの選び方次第で、飲食店の売り上げに直接的な影響があるとは言い切れません。椅子の座り心地を含め、飲食店は料理の味や接客の質、店全体の雰囲気、居心地の良さなど、その店で味わえる「幸せの時間」の満足度に対して、客は料金を払っていると私は考えています。

 例えば、安価に見える簡素で小さい椅子を導入することで、席数を増やしたり回転数を上げたりして、昨今の食材の仕入れ価格高騰の状況でも利益を確保し、値上げを最小限にとどめるというファストフード店の経営戦略を喜ばしく感じている客もいるでしょう。

 飲食店は顧客満足度を高めるために常に新しい試みにチャレンジしていますが、椅子の座り心地も含めた満足度は人それぞれです。飲食店に行ったときは食べ物だけでなく、椅子やテーブルといった設備にも注目すると、違った発見があるかもしれません。

(オトナンサー編集部)

【豆知識】「えっ…」 これが飲食店でよく見掛ける“座りにくい椅子”です!

画像ギャラリー

成田良爾(なりた・りょうじ)

飲食店専門経営コンサルタント

ヴィガーコーポレーション代表取締役。厚生労働省公認レストランサービス技能士(国家資格)、文部科学省後援サービス接遇検定準1級、食生活アドバイザー2級、他。飲食業界25年以上。ミシュランガイド掲載の高級レストランから個人経営の小さな大衆店まで幅広いジャンルの飲食店に携わり、その経験に基づく統計解析および枠にとらわれないアイデアで多くの赤字店を黒字化させてきた実績を持つ。「100年続く店づくり」をモットーに、次世代育成や飲食業の働き方改革などにも力を入れており、食文化普及の他、職業訓練校講師(フードビジネス科)や子育て女性就職支援事業講師なども歴任。現在も多くの飲食店経営者のサポートを手掛ける。飲食店専門のコンサルティング「オフィスヴィガー」HP(http://with-vigor.com/)。

コメント