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【子育て】「ご褒美で釣るしつけ」ってしてもいいの?→ヒントは発達障害児の「療育」にあった

ご褒美を与える本当の目的

 自発的な行動を定着させるための学習を、心理学用語で「オペラント条件付け」、そのご褒美や目的にあたるものを「強化子(きょうかし)」といいます。

 たとえ強化子がなくなっても、行動が定着した場合、ご褒美が有効に作用したということになります。お手伝いをしたら、親が「頑張ったね!」「すてきね!」と拍手する。こうした場合、最初は「親から褒められたくて」「親の喜ぶ顔が見たくて」が動機付けかもしれません。

 しかし、ご褒美が品物ではなく、親からの感謝や称賛の言葉であることで、人間が本来持つ「誰かの役に立ちたい」という貢献意欲を満たすことができます。そのこと自体が強化子となり、褒め言葉がなくても、拍手をもらえなくなっても、成長とともに行動が定着していくのです。学習を定着させるためには、とても有効な手段です。

 シールや拍手、花丸を付ける程度の強化子の場合、子どもは最初、「シールが欲しくてやる」「花丸をしてもらいたくて頑張る」「褒めてもらいたくて片付ける」などの動機でスタートします。

 しかし、これをきっかけにだんだんと「勉強したらたくさんの知識が得られて楽しい」「字を練習したらきれいに書けるようになって自信になり、うれしい」「部屋を片付けたら気分爽快になった」といった体験ができるようになっていくと、ご褒美がなくても勉強したり、片付けたりするようになります。そうなると、「強化子であるシールが有効に働いた」といえるのです。

 ただし、例えば、強化子をシール→鉛筆→消しゴム→ゲーム……と豪華にしていくと、先述の例のように、学習そのものよりも「ご褒美目当て」にしか勉強しなくなってしまいます。「宿題をして学力がついた」「片付けをしてきれいになり、爽快な気分になった」「お年寄りに席を譲って喜んでもらえた」体験、それこそが本人の自己評価につながるご褒美でなくてはならないのに、なかなかそこに向かいにくくなってしまうため、注意が必要です。

 中には、幼稚園、保育園のお便り帳に、子ども自身がシールやスタンプを押すようにと決められているケースがあります。頑張って通園した印でこれらを使うのです。とてもよい方法ですね。

 そう考えると、まだ幼い子どもにはビッグすぎないご褒美(トークン)を使うことが必要なのかもしれませんね。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【画像】「えっ…そうだったの…?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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