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採血後の血液→検査に使われず「余る」こともあるの? 検査終了後の「血液の行方」についても聞いてみた【医師解説】

血液検査とセットで行われる「採血」。かなり多くの量の血液を採ることもありますが、検査に使った後、血液はどうなるのか気になったことはありませんか? 医師に聞いてみました。

採血後の「血液」はどうなる…? ※画像はイメージ
採血後の「血液」はどうなる…? ※画像はイメージ

 健康診断や人間ドックで行われることの多い「血液検査」。さまざまな病気の早期発見のため、「年に1回は必ず受けている」という人は多いことでしょう。ところで、血液検査のために「採血」が行われますが、検査内容によっては何本もの採血管に多くの血液を採られることがあります。そんな多くの血液について、「血液が余ることもありそう」「検査が終わって余った血液はどうなるの?」と疑問にも思ったことがある人もいるかもしれません。

 実際のところ、血液検査で使用した血液、余った血液はその後、どうなるのでしょうか。eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに、「採血後の血液の行方」について聞きました。

検査使用後、血液は「必ず余る」

Q.まず、「血液検査」について教えてください。

市原さん「血液検査は採血を行い、肝臓や腎臓といった臓器の異常を調べたり、血糖値やコレステロール、中性脂肪、尿酸などの数値を調べたりと、さまざまなことが分かる検査です。健康診断で特に異常を指摘されず健康な人は、年に1回の健康診断での血液検査で十分です。

何か症状があるなど不調のときには、病院で血液検査を行い、不調の原因を調べます。例えば、糖尿病などで定期的に病院に受診している人は、1~2カ月に1回は血液検査をすることが多いです。かかっている病気によって血液検査の頻度は変わります」

Q.採血では、複数本の採血管に多くの血液を採ることがあります。血液検査で使うために採るとはいえ、検査実施時に血液が「余る」ということはないのでしょうか。

市原さん「余ることはあります。検査項目によって、必要な血液量は異なります。検査ができないほどの少ない血液量を最初から採ることはなく、規定量の血液を採取します。よって、検査に使用した後に血液は必ず余るのです」

Q.血液検査で使われた血液、また余った血液は、検査終了後どうなるのですか。

市原さん「使われた血液は、検査結果が出れば廃棄され、使われなかった血液も廃棄されます。ただし、血液検査を実施する会社や病院によっては、採取した血液を一定期間保存することがあり、この場合はもし後に必要な検査項目があれば、追加で検査依頼をすることもできます。

場合によっては、大学病院などで研究材料として使われることはありますが、この場合は個人の同意を得た上で使用されることになっています。

なお、血液検査で余った血液は、医療廃棄物として決められたルートで破棄されます」

(オトナンサー編集部)

【画像】採血後に「青あざ」できたことある?→これが「実際の写真」です(閲覧注意)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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