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食物アレルギー「遅延型」「即時型」で、どう違う? アレルギー対応食アドバイザーが解説

食物アレルギーに不安を抱いている人は多いと思います。食物アレルギーには、「遅延型」「即時型」があり、数日たってから症状が出ることもあるようです。そこで、「JADP認定アレルギー対応食アドバイザー」の資格を保有する花村あづささんに聞きました。

食物アレルギーに「遅延型」「即時型」があるの?
食物アレルギーに「遅延型」「即時型」があるの?

 モデルの武智志穂さん(39)が4月7日、自身のインスタグラムで「遅延型フードアレルギー」(遅延型食物アレルギー)と思われる症状に見舞われたと明かしました。そこで、食物アレルギーの遅延型はどんな症状が現れるのか、特定の食品を食べてから30分以内に発症する即時型とどのような違いがあるのか、「JADP認定アレルギー対応食アドバイザー」の資格を保有する花村あづささんに聞きました。

「遅延型食物アレルギー」は医学的にまだ定義がない

Q.遅延型食物アレルギーと即時型食物アレルギーはどのような違いがあるのでしょうか?

花村さん「食物アレルギーには医学的に複数のタイプがありますが、即時型食物アレルギー(以後『即時型アレルギー』) はそのうちの一つです。特定の食物を摂取してから2時間程度以内に発症することが多く、じんましん、吐き気など軽度から重度までさまざまな症状が見られます。

武智さんが見舞われた遅延型食物アレルギー(以後、『遅延型アレルギー』)は、現在の医学では公式なアレルギーのタイプとして分類されておらず、例えば、私が食物アレルギーについて学んだJADP認定アレルギー対応食アドバイザーのテキストにも記載はありません。

食後数時間から数日後に、腹痛や下痢、肌荒れ、倦怠感などの症状が現れるものを、『もしかしたら遅延型アレルギーかもしれない』と疑うものの、アレルゲンを確実に特定できる検査がないことや、ほかの要因との見分けがつきにくいことなどから、慎重に扱われていると思われます」

Q.遅延型アレルギーと即時型アレルギーで、症状はどのように異なったりするのでしょうか。

花村さん「即時型アレルギーでは、じんましんや目のかゆみなど比較的軽度のものから、断続的な咳、息苦しさ、吐き気などの中等度、激しい嘔吐(おうと)や呼吸困難、血圧の低下など重度の症状までさまざまです。また呼吸器や消化器など複数の臓器に強いアレルギー症状が現れることを『アナフィラキシー』、さらにアナフィラキシーの結果、生命に関わるような危険な状態になることを『アナフィラキシーショック』といいます。

遅延型アレルギーは現時点では明確な医学的定義は存在しておらず、特定の症状を『これが遅延型アレルギーの症状です』と挙げることは困難です。即時型アレルギーの典型的な症状には当てはまらないものの、特定の食物を摂取すると不調が現れる気がする、という場合に疑われることが多いようです」

Q.改善法や対処法、発見方法などはあるのでしょうか。

花村さん「まず大前提として食物アレルギーについて自己判断や自己流の対処は大変危険です。即時型アレルギー、遅延型アレルギーいずれに関しても必ず専門の医師を受診することがとても大切です。

食物アレルギーの確定診断は医師の指導・監視の下で行われる経口負荷試験(アレルゲンとして疑う食物を少量ずつ食べて観察を行うテスト)で決定します。

経口負荷試験で即時型アレルギーと診断された場合は、アレルゲンの除去、つまりアレルゲンを食べないことが基本的な対処になります。誤食などでアレルギー症状が出てしまったときの対応は医師の指示に従ってください。アナフィラキシーを起こす可能性がある方にはエピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方されることもあります。

また、主に子どもに行われることが多いですが、経口減感作療法(少量からアレルゲンを摂取して体を慣らし、免疫反応を和らげる療法)を行う場合があります。

自分が遅延型アレルギーかもしれないと疑う場合にも、まずは食物アレルギーを専門とする医師の受診をお勧めします。

先にお伝えしたとおり、遅延型アレルギーは医学的にまだ定義が曖昧なため、食物アレルギーの診察に慣れている医師が望ましいと考えます。一定期間、食事内容と体調の記録をつけ、診察時に持参してもいいかもしれません。

自己判断での長期間の食事制限は栄養バランスを崩してしまったり、心理的負担にもなりかねません。専門の医師としっかりと相談しながら慎重に対応することが重要です」

※本記事は、JADP認定アレルギー対応食アドバイザーとしての知識と、公的資料に基づいた一般的な情報提供になっています。診断・治療を目的としたものではないため、自身の体調については必ず医療機関に相談するようにしてください。

(オトナンサー編集部)

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花村あづさ(はなむら・あづさ)

フリーアナウンサー・ナレーター・JADP認定アレルギー対応食アドバイザー

 2000年、東京女子大学卒業後、TBS系列チューリップテレビ入社。在籍中は報道番組を中心に企画・取材・リポート・中継などマルチに活躍。TBSの朝の情報番組ではレギュラー中継リポーターも務め、番組やCMのナレーション、イベントの司会など数多く担当。2003年に退社し、フリーアナウンサーに転身。ナレーター・リポーター・イベント司会・トークレッスン講師など幅広く活動している。子どもが重度の小麦アレルギーであったことから、10年にわたりグルテンフリー食を作り続けた経験を持ち、アレルギー対応食アドバイザーの資格を取得している。

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