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日中に強い眠気…「睡眠時無呼吸症候群」かも 放置すると命の危険も 医師に聞く発症の原因&治療法

睡眠時無呼吸症候群の原因や合併症のリスク、治療法などについて、総合内科専門医に聞きました。

睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは?

 「睡眠時無呼吸症候群」という病気を聞いたことがある人は多いと思います。日中にひどい眠気を引き起こす病気として有名ですが、放置した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。発症の原因や合併症のリスク、治療法などについて、たいや内科クリニック(愛知県豊田市)院長で睡眠時無呼吸症候群の診療経験が豊富な、総合内科専門医の加藤大也さんに聞きました。

高血圧や心筋梗塞のリスクが増加

Q.そもそも、睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気なのでしょうか。

加藤さん「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりすることで体に低酸素状態が発生し、それによってさまざまな日常生活に支障を引き起こす病気です。この病気による代表的な症状は次の通りです」

・大きないびきをかく
・「寝ているときに呼吸が止まっている」と家族に指摘される
・夜間に何度も目が覚める。時に息苦しさを伴う
・朝に頭痛や倦怠(けんたい)感が生じる
・日中に強い眠気や集中力の低下が起きる

これらの症状は、仕事や私生活でのパフォーマンスに影響を与えるだけでなく、交通事故や労働災害の原因になることもあります。

睡眠時無呼吸症候群には次の3つのタイプがあります。

・閉塞(へいそく)型:上気道(喉周辺)がふさがることで空気の通り道がふさがれ、呼吸が止まるタイプです。

・中枢型:脳の呼吸中枢の働きが一時的に低下し、呼吸の指令が出なくなるタイプです。心不全や脳卒中に関連することがあります。

・混合型:閉塞型と中枢型の両方の特徴を持つタイプです。

閉塞型の主な原因には、肥満による喉周囲の脂肪の沈着、下顎が小さい(下顎後退)、扁桃(へんとう)腺や口蓋垂(こうがいすい)の肥大などがあります。また、飲酒や睡眠薬の服用も気道を狭くする原因となるため、注意が必要です。

Q.睡眠時無呼吸症候群を放置した場合、将来的にどのようなリスクがあるのでしょうか。

加藤さん「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、単なるいびきでは済まされず、全身の健康に深刻な影響を及ぼすことが分かっています。主に次の4つのデメリットが生じます」

(1)心臓や血管への負担
呼吸が止まるたびに酸素が不足し、交感神経が刺激されるため、高血圧や心筋梗塞(こうそく)、不整脈、心不全といった病気を引き起こすリスクが高まります。

(2)脳への影響
脳卒中のリスクが上がるほか、慢性的な低酸素状態は、認知症のリスクとも関連していると考えられています。

(3)代謝異常
睡眠時無呼吸症候群を発症している人は糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を合併している場合が多く、放置すれば血糖値、血圧が悪化する場合があります。

(4)事故のリスク
日中の眠気が強いため、交通事故や労働災害の発生率が一般的な人の数倍に跳ね上がるというデータがあります。

このように睡眠時無呼吸症候群は放置すれば命に関わる病気です。少しでも不安がある場合は、早めに医療機関での検査をおすすめします。

【要チェック】これが「睡眠時無呼吸症候群」の主な症状です(画像10枚)

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加藤大也(かとう・たいや)

たいや内科クリニック院長、総合内科専門医

1997年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、同大学院医学研究科内分泌・代謝内科学修了。2003年4月から同大学医学部内分泌・代謝内科助手を務める。2010年5月、JA愛知厚生連豊田厚生病院内分泌代謝科病棟部長などを経て、2022年5月に「たいや内科クリニック」(愛知県豊田市)を開院。糖尿病専門医、総合内科専門医、甲状腺専門医、藤田医科大学医学部客員講師、医学博士。糖尿病、生活習慣病を中心に、日々診療に取り組む。患者さん目線で分かりやすい説明をモットーとしている。たいや内科クリニック(https://taiya-naika.com)。

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