睡眠障害、疲労、動悸…“自律神経の乱れ”が原因 整える方法“4選” 総合内科専門医が解説
自律神経が乱れると、体にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。総合内科専門医に聞きました。

「自律神経」という言葉をよく聞きますが、どのような働きをするのか分かりにくいと感じたことはありませんか。自律神経が乱れると、体調不良の原因になるといわれています。
では、自律神経が乱れた場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。自律神経を整えるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。たいや内科クリニック(愛知県豊田市)院長で総合内科専門医の加藤大也さんに聞きました。
自律神経の乱れで血圧も不安定に
Q.そもそも、自律神経とはどのようなものなのでしょうか。自律神経の働きも含めて、教えてください。
加藤さん「自律神経とは、私たちの意識とは無関係に体のさまざまな機能を調整する神経系の一部です。自律神経系は主に交感神経と副交感神経の2つの神経に分けられ、それぞれが異なる役割を担っています。
交感神経は、私たちがストレスを感じたり、緊張状態に陥ったりすると活発に働く神経です。例えば、危険を察知した際に心拍数が上がり、血圧が上昇し、筋肉が緊張するのは交感神経が活発になるためです。これは『戦うか逃げるか』の反応として知られ、緊急時に体を迅速に対応させるための機能です。
一方、副交感神経は、リラックスしているときや休息しているときに働く神経です。心拍数を下げ、消化を促進し、体をリラックス状態に導く役割を持っています。副交感神経が優位になると、体は修復モードに入り、エネルギーの蓄積や回復が行われます。
これらの2つの神経がバランスよく働くことで、体は日常のストレスに対応し、休息と活動の間で調和を保っています。例えば、運動中は交感神経が優位になり、運動後のリラックス時には副交感神経が優位になるという具合です。このバランスが崩れると、体のさまざまな機能に影響が及びます。
従って、自律神経は私たちが意識して行うことのできない、生命維持に必要な多くの機能を管理している重要なシステムであり、日常生活を健康に過ごすためには、この自律神経のバランスがいかに保たれるかが鍵となります」
Q.自律神経が乱れた場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。また、自律神経が乱れているかどうかを自分で判断することは可能なのでしょうか。
加藤さん「自律神経が乱れると、体はさまざまな不調に陥ります。まず、一般的な症状としては、慢性的な疲労感や倦怠(ひろう)感、睡眠障害が挙げられます。特に、夜になっても交感神経が優位な状態が続くと、寝付きが悪くなり、深い眠りが得られないことがあります。また、逆に昼間に副交感神経が過剰に働くと、日中のだるさや集中力の低下のほか、眠気が強くなることがあります。
さらに、消化器系のトラブルもよく見られます。食欲不振や胃の不調、便秘、下痢といった症状は、自律神経の乱れが原因で起きることがあります。これは、自律神経が胃腸の動きを制御しているためであり、特にストレスが原因で交感神経が優位になると、胃腸の機能が低下して胃痛や便秘、下痢といった症状が現れることがあります。
また、自律神経の乱れは血圧や心拍数にも影響を及ぼすため、例えば、血圧が不安定になり、低血圧や高血圧を引き起こすことがあります。また、動悸(どうき)や不整脈といった心臓に関連する症状も見られることがあります。
自律神経が乱れているかどうかを自分で判断するのは難しいですが、先述のような症状が複数現れる場合や、明らかな理由がないにもかかわらず、疲労感や倦怠感が続く場合、自律神経のバランスが崩れている可能性があります。
また、ストレスがたまりやすい環境にいる場合や生活習慣が乱れている場合も注意が必要です。特に、日常生活に支障をきたすような症状が続く場合は、専門医の診断を受けることが重要です」
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