「足を組んで座る」のがやめられない→実は悪影響だらけ! 整形外科医が教える「脱・習慣化」6カ条
「足を組んで座る癖がある」人、きっと多いと思います。整形外科医が「悪影響だらけ」と指摘する理由や、「脱・習慣化」の方法とは…?

椅子に座るとき、「足を組む癖がある」「気付いたら足を組んでいる」という人は多いと思います。実は、足を組んで座るのが習慣になってしまっていると、体にさまざまな悪影響が及び得る可能性があるようです。足を組んで座るのがやめられない理由や、体に及ぼし得る影響とは、どのようなものなのでしょうか。なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック(京都市右京区)院長で整形外科医の樋口直彦さんが解説します。
骨盤が傾き、背骨もゆがみ…
足を組んで座っているとき、自分の体がどのような状態になっているのかを正しく把握できている人は、きっと少ないと思います。まずは上半身、下半身それぞれの状態について知りましょう。
【上半身の状態】
(1)骨盤が傾く……足を組むことで、骨盤が一方に傾きます。骨盤が左右対称の位置からずれるためで、これにより体全体のバランスが崩れます。
(2)背骨がゆがむ……骨盤の傾きに伴い、背骨も側弯(曲がり)を生じることがあります。特に、腰椎(ようつい)や胸椎(きょうつい)の部分がゆがみやすくなります。
(3)肩と首に影響が出る……背骨がゆがむことで、肩や首の位置も変わり、緊張や痛みを引き起こすことがあります。
(4)姿勢が崩れる……上半身全体の姿勢が崩れやすく、猫背や前かがみの姿勢になりがちです。
【下半身の状態】
(1)股関節が不自然な位置になる……足を組むことで、股関節が不自然な角度で曲がります。これにより、股関節周りの筋肉や靭帯(じんたい)に負担がかかります。
(2)膝が圧迫される……足を組むことで、片方の膝が他方の膝に圧迫されます。これは膝関節に余計な圧力をかけることになります。
(3)血行不良が起こる……足を組むことで、太ももや膝の血管が圧迫され、血流が悪くなることがあります。
(4)筋肉が不均衡になる……片方の足が上に乗っているため、下半身の筋肉の使い方が不均等になります。これにより、片方の筋肉が緊張しやすく、反対側が弱くなることがあります。
「足を組んで座ることはよくないの?」という疑問を持っている人もいると思いますが、足を組むことが習慣化するのは「よくない」といえます。具体的に、上半身・下半身に次のような悪影響が考えられるためです。
【上半身への悪影響】
先述したように、足を組むことで骨盤が片側に傾き、その影響で背骨もゆがむことがあります。これが長時間続くと、背中や首の痛みを引き起こす可能性があります。また、足を組むと、骨盤周りの筋肉が不均等に使われるため、特定の筋肉が緊張しやすくなり、反対側の筋肉が弱くなることがあります。さらに、足を組むことで骨盤が傾き、それに伴って上半身の姿勢が崩れると、肩こりや首こりの原因となることがあるでしょう。
【下半身への悪影響】
足を組むと、太ももや膝周りの血管が圧迫され、血行が悪くなります。そうすると足のむくみやしびれを引き起こす原因となります。また、長時間足を組むことで膝関節や股関節に不自然な圧力がかかり、これが関節痛や将来的な関節の問題の原因となることが考えられるでしょう。さらに、血行が悪くなることで、血管が膨れ上がってコブのようになる「静脈瘤」のリスクが増す恐れがあります。特に、長時間足を組む習慣がある場合には注意が必要です。
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