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加齢による「膝の痛み」 負担軽減する4つの方法 放っておくと“歩行困難”も 原因を整形外科医が解説

加齢とともに膝に痛みが生じる原因のほか、膝の負担を軽減する方法について、整形外科医に聞きました。

加齢とともに膝の痛みが生じるようになるのはなぜ?
加齢とともに膝の痛みが生じるようになるのはなぜ?

 年齢とともに膝が痛くなることが増えたと感じる人は多いと思います。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。膝に負担をかけないためには、どのような対策が有効なのでしょうか。なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック(京都市右京区)院長で整形外科医の樋口直彦さんに聞きました。

膝の軟骨の減少が原因

Q.年を取ると膝が痛くなることが増えますが、なぜなのでしょうか。加齢で膝が痛くなる原因、膝が痛くなり始める年齢について、それぞれ教えてください。

樋口さん「年齢とともに膝が痛くなるのは、関節の軟骨がすり減る『変形性膝関節症』が主な原因です。軟骨は膝のクッションの役割を果たし、骨同士が直接摩擦するのを防いでいます。しかし、加齢により軟骨が減少し、これが痛みを引き起こすことがあります。また、筋肉量や関節の柔軟性も低下し、膝への負担が増すことも要因となります。

膝の痛みが現れ始める年齢は個人差がありますが、50歳前後から徐々に症状が現れ始めることが多いです」

Q.膝に負担をかけないために、日常生活ではどのような取り組みが有効なのでしょうか。

樋口さん「膝に負担をかけないためには、次のような日常生活の工夫が有効です」

(1)適度な運動
膝を支える筋肉、特に大腿四頭筋を強化することが重要です。ウオーキングや水泳、サイクリングなどの低負荷の有酸素運動がお勧めです。

(2)体重管理
体重が増えると膝への負担が大きくなるため、適切な体重を維持することが膝の健康に重要です。

(3)姿勢、歩き方の改善
正しい姿勢で歩くことや、座り方にも注意しましょう。特に座る際に膝を深く曲げないようにすることが大切です。

(4)柔軟性を保つ
ストレッチやヨガなどで膝関節の柔軟性を維持することも有効です。

Q.日常生活で膝が痛くなることが増えた場合、どうすればよいのでしょうか。受診の目安となる症状も含めて、教えてください。

樋口さん「膝に痛みが生じた場合、まずは無理をせず、膝を休めることが大切です。次のような症状が現れた場合は、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします」

(1)持続的な痛み
安静にしていても痛みが引かない場合。

(2)腫れや熱感
膝が腫れていたり、熱を持ったりしている場合。

(3)動きの制限
膝を曲げ伸ばしできない、または歩行が困難な場合。

(4)膝に異常な音
動かす際に「ゴリゴリ」と音がする場合は、軟骨の問題が疑われます。

Q.膝に痛みを抱えているにもかかわらず放置した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。

樋口さん「膝の痛みを放置すると、次のようなリスクが考えられます」

(1)症状の悪化
膝の痛みを放置すると軟骨のすり減りが進行し、変形性膝関節症が悪化する可能性があります。

(2)関節の変形
膝の痛みが続くと、膝関節が変形し、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。その場合、歩行が困難になるリスクもあります。

(3)筋力低下
膝が痛いからといって膝を使わないようにすると、周囲の筋肉が衰え、さらに膝への負担が増える悪循環に陥る可能性があります。

(4)生活の質の低下
膝の痛みが続くことで活動範囲が制限され、生活の質が低下するリスクもあります。

早期に適切な対応を行うことで、これらのリスクを軽減し、膝の健康を保つことが可能です。

(オトナンサー編集部)

【画像】「えっ…!」これが「膝」の負担を軽減させる“4つの方法”です(4つ)

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樋口直彦(ひぐち・なおひこ)

医師(スポーツ整形外科)、なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック院長

帝京大学医学部卒業後、複数の病院勤務を経て、2017年3月に日本整形外科学会認定専門医を取得。2021年1月、医療法人藍整会なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニックを京都市で開業し、理事長、院長を務める。バレーボールのVリーグ男子1部「サントリーサンバーズ」のチームドクターを務めるなど、スポーツ選手の治療やリハビリにも詳しい。なか整形外科(https://nakaseikei.com/)。

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