知らない人に子どもの“水着姿”を撮られた…「やめてほしい」「怖い」などの声、法的問題は?
プールや海水浴場で遊ぶ水着姿の子どもを撮影すると、違法な盗撮行為とみなされるのでしょうか。盗撮にまつわる法的問題について、弁護士に聞きました。
「プールで遊ぶ子どもの水着姿を、知らない人に撮られた」。このような体験談が先日、SNS上で話題になりました。
プールや海水浴場で子どもが水遊びする様子を、無断で撮影されることに不安を感じる保護者は多く、「カメラ向けるのをやめてほしい」「最近物騒だから怖い」「親は注意すべき」などの声が寄せられています。一方で、撮影する立場からは、「偶然写り込んでしまうこともある」「趣味の風景撮影を盗撮だと思われたら嫌だ」などの声も上がりました。
子どもの水着姿を撮影する行為には、どのような法的問題があるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
写真の内容やアングル、構図で判断
Q.盗撮の定義と処罰の内容を教えてください。
牧野さん「盗撮とは、東京都迷惑防止条例の定義によれば、『正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような行為であって、人の通常衣服で隠されている下着または身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、または撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、もしくは設置すること』です。
場所については、『住居、便所、浴場、更衣室、その他人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所』のほか『公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定または多数の者が利用し、または出入りする場所または乗物』で行われる場合と定義されています。違反した場合の罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と規定されています(同条例第5条 粗暴行為の禁止)。
他方、軽犯罪法では、『正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者』(同法第1条23号)で盗撮行為を含む『ひそかにのぞき見る』行為を規定しています。違反すれば、拘留(1日以上30日未満拘束)または科料(1000円以上1万円未満の財産刑)に処せられる可能性があります。
18歳未満の児童が盗撮の対象とされた場合は、児童ポルノ規制法違反に問われる可能性もあります。同法において、『児童ポルノ』とは、『衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、ことさらに児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部または胸部をいう)が露出されまたは強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの』(2条3項3号)と定義されています。
また、他人の住居に無断で侵入して盗撮した場合は、住居侵入罪(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)にも該当します。一例として、市立小学校の2階印刷室の無施錠の引き戸から侵入した上で、女子更衣室で水着を着替え中の女子生徒の姿態を、隣接する男子更衣室の間仕切りの上方からデジタルカメラで隠し撮りした事案では、住居侵入罪及び軽犯罪法の違反とされ、被告人は、懲役1年6月(執行猶予3年)に処せられました」
Q.撮影と盗撮の法的な線引きとは。
牧野さん「明確な線引きは難しいですが、盗撮の定義に該当するかどうかは、撮影された写真から判断することになると思います。場合によっては、写真のアングルや構図から見て、集合写真を撮るふりをして傍らの水着姿の児童を撮ろうとしていると判断されることもあるでしょう」
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