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「発達障害」を乱用する風潮にモヤモヤ 自閉症児の母が覚える違和感と憤り

人をラベリングする言葉として使わないで

 発達障害の啓発が進み、この言葉を聞き慣れてきた今だからこそ、今後は慎重に使われるべき重みがある言葉という認識が広まってほしいと感じています。

 慎重にといっても、もし、本当に発達障害なのかもしれないと悩んでいる人がいたら、早急にそのことを知り、支援者とつながった方がいいでしょう。家族などでその傾向が強い人がいて、周囲も接し方に困っているのであれば、受診を促した方が良い場合もあるかもしれません。

 だからといって、何でもかんでも発達障害ではないかと疑ってしまうのも違うと思うのです。このあたりの兼ね合いは難しいですが、「発達障害ではないか?」「自閉っぽい」などの言葉が安易に飛び交うのを見ると、自閉症がある子の親としては不快な気持ちになります。

 もちろん、本当に悩んでいる人がより相談しやすく、オープンにしやすい環境を整えることは大切ですが、非常にセンシティブな部分であるからこそ、周囲は言葉の扱いに慎重になるべきではないでしょうか。本人が自分で「発達障害だ」と公言するのと、周囲が「発達障害だ」と指をさすのは全然違います。

 正しく発達障害を知り、安易に他人をラベリングする言葉にしないでほしいと切に願います。

(ライター、イラストレーター べっこうあめアマミ)

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べっこうあめアマミ(べっこうあめあまみ)

ライター、イラストレーター

知的障害を伴う自閉症の息子と「きょうだい児」の娘を育てながら、ライター、電子書籍作家として活動。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害のある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信をツイッター(https://twitter.com/ariorihaberi_im)などの各種SNSで続けている。障害児育児をテーマにした複数の電子書籍を出版し、Amazonランキング1位を獲得するなど多くの障害児家族に読まれている(https://www.amazon.co.jp/dp/B09BRGSY7M/)。「べっこうあめアマミ」というペンネームは、障害という重くなりがちなテーマについて、多くの人に気軽に触れてもらいたいと願い、夫と相談して、あえて軽めの言葉を選んで付けた。

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