「おい、生ビール」は1000円 頼み方で値段が変わると知らせる張り紙、居酒屋が込めた思いとは…
店と客が対等な立場でありたい

Q.張り紙はシリアスな内容にも感じられます。どのような思いで作成しましたか。
蒲池さん「私は、飲食業に従事して17年になります。疑問に思うことの一つに、『スタッフに対して敬語が使われない』という点がありました。もちろん、常連客さんのスタッフに対するフランクな話しかけは除きます。
想像してほしいのですが、例えば仕事上で取引先の人と接する場合、当たり前のように敬語を使います。飲食店も同じだと思います。金銭と引き換えに、料理や酒などの飲食物を提供する取引をしているという点で、全く同じはずです。にも関わらず、取引先である飲食店のスタッフには初対面でも敬語を使わない人が多いという現実があります。
名前も知らない人にいきなり『おい、生ビール』と言われたら、決して晴れやかな気持ちにはなりませんし、『よし、頑張ろう』とは間違っても思いません。私が思えないのだから、スタッフもそうではないかと思います。いつも身を粉にして、笑顔で一生懸命働いてくれる大事なスタッフがそういう思いをする機会を、少しでも減らせたらと考えました」
Q.張り紙の文言はどのようにして考えましたか。
蒲池さん「『おい、生ビール』『生一つ持ってきて』『すい(み)ません。生一つください』は張り紙を作ろうと思ったその日に、実際に私がお客さまに言われた言葉です。そのまま書き起こしました。
お互い仲良くフランクな関係になるまでは、お店とお客さまという関係でお互いが相手を思いやり、その一つの表現としてお互いが『敬語』を使いませんか、ということをお伝えしたかったのです」
Q.お客さんからの反応はいかがですか。
蒲池さん「『面白いね』といった意見のほか、『お前、さっきこの言い方しなかった~』と仲間内でのネタになっています」
Q.同業者からはどのような意見が寄せられていますか。
蒲池さん「同業者とおぼしき人たちから、お叱りや否定的なご意見も多く頂いています。『飲食業とはこうあるべきだ』と、私と考えが違う人もいらっしゃることでしょう。それはそれで結構です。とても健全だと思います。
ただ、私は飲食業が好きです。『大好きな飲食業の発展へ微力ながら貢献したい』。その思いは怒りをあらわにする皆さまと同じであるとお伝えしたいです」
Q.SNS上で話題となっていることについては。
蒲池さん「どちらかというと、否定的な意見や揚げ足取りのコメントが多いと感じています。その数が、飲食店で敬語を使えない人の数であり、当店のスタッフにストレスを与える人たちであり、そういう人たちが『こんな店ぜったい行かねぇ』と意思表明してくれているので、ホッとすると同時に、張り紙を出してよかったと思いました。これぞ『ウィンウィン』だと感じています。
今回の張り紙が話題となること自体、今の日本の接客事情を表しており、また、私と同じような考えを持つ人が比較的多いのではないかと感じています」
Q.今後、取り組みたいことは。
蒲池さん「9月に渋谷店をオープンする予定で、その後も都内に出店を考えております。5年以内に10店舗出店が当面の目標です」
店と客がお互いに気持ちよい時間を過ごすために、最低限のマナーが求められているのかもしれません。
(報道チーム)
コメント