【アタマジラミ】どんな人の頭髪に寄生？　見つけたらどうすればよい？　感染経験のある看護師に聞く

　保育園や幼稚園などで「アタマジラミ」が流行することがあります。実際に、子どもがアタマジラミに感染してしまった経験がある人もいると思います。そもそも、アタマジラミに感染するのはなぜなのでしょうか。感染した場合、どのような取り組みが必要なのでしょうか。

　子どもから親に感染が拡大する可能性などについて、フリーランスの看護師として活動し、自身もアタマジラミに感染した経験がある、看護師マッキーさん（以下、マッキーさん）に聞きました。

頭部に強いかゆみ

Q.そもそも、アタマジラミとはどのような虫なのでしょうか。

マッキーさん「アタマジラミは寄生虫で、人の頭に寄生し血を吸います。成虫は灰白色で全長は2〜4ミリです。光を嫌うため、髪の毛の中に隠れています。時折、髪の毛の上をトコトコ素早く動き回り、卵を1日5〜6個産みます。人体から離れたアタマジラミは2〜3日程度しか生存できないといわれているため、基本的に屋外には生息していません。

卵は透けたような白色の楕円（だえん）形で、長さは約0.5ミリです。髪の根元にセメントで固めたようにしっかりとくっつくため、簡単に取ることができません。卵は約1週間でふ化し、成虫になります。季節に影響されないため、1年を通して感染報告が上がっていますが、6～7月の初夏と10～11月の秋の時期に感染するケースが多いというデータもあります」

Q.アタマジラミに感染する原因について、教えてください。

マッキーさん「『髪を不潔にしているからアタマジラミに感染する』と考える人が多いですが、日頃から頭髪を清潔にしている人でも感染することがあります。

アタマジラミが寄生を好むのは、11歳以下の子どもの頭髪です。特に小さな子どもは互いに体を寄せ合い、頭同士をくっつけて遊ぶことが多いため、他の子どもからアタマジラミをもらってしまうことがあります。

また、頭髪を清潔にしていても感染することがあるため、大人、子どもを問わず、洗髪が不十分だと感染の確率が高まります」

Q.アタマジラミに感染した場合、どのような症状が出るのでしょうか。アタマジラミが頭部に寄生しているかどうかを見分ける方法はありますか。

マッキーさん「主な症状は、頭部の強いかゆみで、特に耳の後ろや生え際の根元付近がかゆくなることが多いです。頭部でアタマジラミの数が増えてくると、かゆみが強まります。一方、アタマジラミが皮膚に寄生したり、新たな病気を引き起こしたりすることはありません。

アタマジラミの感染を見分ける方法は、卵があるかどうかです。しかし、卵はフケや皮脂と似ているため、見た目が分かりにくいです。子どもの頭髪にアタマジラミがいるかどうか分からない場合は、子どもの髪の毛を数本持って小児科を受診してください。その際、セロハンテープで髪の毛を紙に貼り付けておくと便利です」

Q.もしアタマジラミが子どもの頭髪に寄生しているのが確認された場合、どのように対処すればよいのでしょうか。洗髪だけでは不十分なのでしょうか。

マッキーさん「洗髪だけでは時間がかかってしまうため、次の方法を組み合わせるのをお勧めします」

■大人が髪の毛を洗う
特に根元までしっかりと洗うことで成虫を洗い流すことができます。

■シラミ専用の目の細い「すきぐし」を使用し、入浴後に毎日ブラッシングをする
卵は髪の毛の根元にしっかりとくっついています。そのため、くしで髪の毛を引っ張ることで子どもが痛いと訴えることがあります。そのときは、入浴後の乾いた髪にリンスを塗布すると、くしが入りやすくなり負担が軽減されます。

■髪の毛を切る
本人が嫌がるときは無理に行ってはいけませんが、髪の毛が短い方が洗髪の時間やくしでとくときの時間が短縮され、負担が軽減します。

■殺虫剤入りのシャンプーを使う
薬局や通販サイトなどで購入できます。注意点として、殺虫剤入りのシャンプーは成虫には効果的ですが、卵には効果がありません。卵がふ化することを考えて、1週間以上使い続ける必要があります。

Q.アタマジラミは感染した人の家族にも寄生するといわれていますが、本当なのでしょうか。

マッキーさん「本当です。私も子どもを通じて感染してしまった経験があります。子どもがまだ4歳だった頃、保育園からアタマジラミが発生したと連絡を受け、恐る恐る子どもの髪の毛をかき分けてみると、成虫と目が合いました。その後、私ともう1人の子どもも感染していることが分かり、3人そろってアタマジラミを抱えてしまいました。

一番つらかったのは、頭のかゆみです。私は両こめかみの辺りがかゆく、イライラしてしまいました。その後、先述の方法を実行し、10日くらいかけて終息した記憶があります。すきぐしでシラミの卵を取る場合、くしに卵が複数個付着します。その際は、卵をガムテープに押しつけ、くしから剥がしてください。

家族でアタマジラミに感染した人がいた場合、家族内で感染が拡大しないためには、次のような対策が重要だといわれています」

【家族がアタマジラミに感染した場合の対策】
・寝具や帽子、くしを共有しない。
・子どもが通っている学校や保育園、幼稚園に連絡する。
・シーツやカバーは毎日洗濯する。
・アタマジラミは熱に弱いため、60度以上のお湯に衣類を5分以上浸す。アイロンや衣類乾燥機を使うのもお勧め。

先述のように、髪を不潔にしている人がアタマジラミに感染しやすいと思い込んでいる人が多いですが、そのような認識で軽はずみな言動をすると他の子どもや保護者を傷つけてしまう恐れがあります。アタマジラミに関する十分な知識を持って、適切に対応するようにしてください。

（オトナンサー編集部）