「錠剤」シート、ミシン目で“1錠ずつ”切り離せないのはなぜ? 薬剤師に聞いて分かった“明確な理由”
処方された錠剤のシートをよく見ると、“1錠単位”で切り離せないようになっています。なぜこのような仕様になっているのか、薬剤師に理由を聞いてみました。
病院で処方された錠剤のシートには、切り離せるようにミシン目が入っています。しかし、このミシン目をよく見ると、縦もしくは横のいずれか一方向にしか入っておらず、錠剤を“1錠単位”で切り離せないようになっていることが分かります。「どうして?」「1錠ずつ切り離して持ち運びたいのに…」と思う人もいると思いますが、このようなシートになっているのには明確な理由があるようです。薬剤師の真部眞澄さんに、その理由を教えていただきました。
高齢者の誤飲事故が多発し…
Q.処方された錠剤のシートは、なぜ1錠ずつ切り離せない仕様になっているのでしょうか。
真部さん「実は、1996年以前は1錠ずつ切り離せるような仕様になっていました。ところが、高齢者を中心に誤飲事故が多発してしまったため、今のように縦方向もしくは横方向のみにミシン目(切れ込み)が入ったシートの形状に変更されたのです。
処方薬のシートは『PTP』というアルミとプラスチックの素材で作られていて、切り離すと、角が非常に鋭利になっています。もし、これを飲み込んでしまうと、喉や消化器官、胃腸などが傷つき、最悪の場合は穴が開いてしまうほどの重症に陥ることもあります。さらに、PTPはエックス線撮影時に写りにくい特性があり、原因の特定を困難にさせる要因にもなり得るため、こうした事故は未然に防ぎたいところですね」
Q.持ち運びがしやすいように、はさみで切って保存してもよいですか。
真部さん「誤飲という面で考えると、やはりシートは切り取らずに保管していただきたいというのが本音です。はさみで切断してしまうと結局、シートの角が鋭利になってしまいますよね。万が一のことを考えると、やはり『小さく切って保管』というのはあまりお勧めはできません」
Q.一方で、市販薬の中には一錠ずつ切り離せる形状のものもありますが、それは問題ないのでしょうか。
真部さん「一錠ずつ切り取れるシートは、PTPとは異なる『SP(ストリップ)包装』で仕上げられています。PTPはプラスチックの容器にアルミのシートを被せているのですが、SPは錠剤をフィルムで挟み込んで密封するため、材質がプラスチックよりもやわらかく、誤飲による危険性が減少します。
また、防湿性や遮光性に優れているため、ある程度長い期間でも保管がしやすいという点もメリットといえるでしょう。市販薬は多くの人が手に取りやすく、長期利用も想定されるため、SP包装が採用されているという背景があります」
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薬の包装は、処方された患者が服用しやすいように形状が考案されていますが、残念ながら過去には誤飲事故が後を絶ちませんでした。持ち運び時など「小分けにしたい」と思うこともあるかもしれませんが、トラブルを防ぐためにも、シートは切らずにそのまま保管するのがよさそうです。薬は用法・用量を守って服用しましょう。
(オトナンサー編集部)
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