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賛否の声が続々…「泣かせない育児」「先回り育児」は本当に正しいのか? 子育てアドバイザーに聞く

「泣く」=自分の思いを伝えるツール

Q.育児のやり方、考え方については、今回のように賛否の声が上がることもしばしばあります。「各人、各家庭の子育てのスタンス」について、お考えをお聞かせください。

佐藤さん「育児方針はそれぞれのご家庭で違っていいと思いますし、実際に違うものです。しかし、それがもし極端な場合は子どもたちに影響が出てしまうこともあるので、育児方針を決める際には、表面的な判断をしないことは大切だと感じています。

例えば、今回の例でいうなら、泣くこと自体を『かわいそう』とか『だめなもの』と見てしまうと、大事なことを見落としてしまうこともあるように思います。『できれば泣いてほしくない』と思うのは自然なことですが、0歳の子にとっては、自分の思いを伝えるツールでもあります。赤ちゃんにとって、自分の発信で周囲が反応してくれることは、『こうやるとこうなる』という予測につながるので、この感覚を得ることは、実はとても重要なことです。

私たち大人もそうですが、自分が何か働きかけても無反応だと自信をなくしますが、何らかの反応を得られると力を感じることができます。赤ちゃんも同様で、泣くこと自体がかわいそうというよりは、信号を送っているのに反応をしてあげないことがかわいそうなのですね。泣くことに、過剰に敏感になってしまうと、のちのち『叱れない』『振り回されてしまう』などの悩みに至ることは多いので、年齢に合った育児方針へとアップデートをかけていくことも大事なポイントだと思います」

(オトナンサー編集部)

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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