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就活で必須の「エントリーシート」、どう対処する? 3つのコツをプロが解説

良い印象を与える文章のコツとは?

 さて、採用選考の視点に立った場合、その人はどのような文章に好印象を抱くのでしょうか。いろいろありますが、簡単にできることを3つ挙げたいと思います。まずは、「短文にする」です。一文を長く書くのではなく、区切って書くのです。これで一つ一つのメッセージが頭に入りやすくなります。人は読んだ文章が理解しにくいと、「分かりにくく書いた相手が悪い」と思う傾向にあります。

 次に、「適度な漢字の使用」です。人によって捉え方は異なるかもしれませんが、漢字が多く使われた文章は、知的に見えます。また、カタカナよりも漢字を使った方がより多くの情報を詰め込むことが可能です。例えば、「コミュニケーション」という単語と、「会話」という単語を見比べてみると分かりやすいと思います。社会人でもそうですが、カタカナだらけの文章は浮いて見えることがあります。

できる限り情報量を多くする

 そして、最後は「情報量を増やす」です。先述の漢字の使用もそうですが、消しても意味が変わらない無駄な言葉をできるだけ削るのが重要です。例えば、「であるということ」→「であること」、「中学3年生」→「中3」などです。

 そして、できるだけ「具体的に書く」ことも重要です。「都心の大きなカフェ」よりも「渋谷の50席のカフェ」と書いた方が情報量は格段に増えて、相手に内容をイメージしてもらいやすくなります。選考者にとって「分かりやすい」とはシンプルなことではありません。イメージしやすいということなのです。

好印象を作ってから、本質を考える

 本来、ここではエントリーシートの中身についても言及すべきなのですが、実践的には先述の3点を守るだけでも合格率は上がると思います。

 そもそもエントリーシートをじっくり見ると、内容はどれも似たり寄ったりです。ですから、エントリーシートはこのような外形的な部分で評価されていることが多いのではないかと思うのです。

 まずは文章における好印象の作り方をマスターした上で、「企業にどんなことをアピールするか」「どんなエピソードでそれを証明するか」を考えてみてもよいかもしれません。私自身、決して本質的な対処方法ではないと思うのですが、先述のように、企業がエントリーシートを採用する以上、致し方ないと思うのです。

(人材研究所代表 曽和利光)

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「定着と離職のマネジメント『自ら変わり続ける組織』を実現する人材流動性とは」(ソシム)など。

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