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就活で必須の「エントリーシート」、どう対処する? 3つのコツをプロが解説

就職活動中の学生がエントリーシートを作成する際は、どのような点を意識すべきなのでしょうか。就活のプロが解説します。

 エントリーシートの対処法は?
エントリーシートの対処法は?

 就職活動時に志望動機や自己PRなどを記入する、いわゆる「エントリーシート」の提出を求められた人は、多いのではないでしょうか。企業の人事担当者にとって、エントリーシートは、応募者の人物像を把握する上で重要な資料とされています。

 ただ、企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた人事コンサルティング会社「人材研究所」の代表・曽和利光さんは、エントリーシートによる企業の選考には限界があると指摘します。今回、曽和さんがエントリーシートの問題点を踏まえつつ、その対処方法について、解説します。

読み手の印象を操作

 エントリーシートはまだ学歴による差別的採用が残っていた頃、ある先進企業が「人物重視」の採用を打ち出すために始めたものでした。当時、それは大変意味があったと思います。

 しかし、現在、人物重視の採用をする方法は適性検査やAI(人工知能)、インターンシップなど他にもたくさんあります。自分を文章で表現するというエントリーシートは、そもそも応募者本人が独力で書いたものか分かりませんし、今後は話題の対話型AI「ChatGPT」に書かせる学生が激増する可能性があります。

 そうなると、エントリーシートの力の入れ具合は、応募者によってまちまちですし、文章を読んで応募者の人物像などを採点するのは至難の業です。エントリーシートは、もう「賞味期限切れ」の手法ではないでしょうか。

オンライン化で応募者が増加

 しかも、エントリーシートは学生に多大な負荷を与えます。1社当たり2~3時間、数十社出そうと思えば、その分膨大な時間がかかります。それなのに、今でも多くの企業がこの選考手法を採用し続けています。それはネットでのオンライン就活が進んだことにより、学生が多くの企業を気軽に受けられるようになり、大企業を中心に以前よりも応募者が増えているからです。

 結果として、大企業には募集人数の100倍以上の応募が来ることも珍しくありません。逆に言えば、応募者を100分の1に絞る必要があるということです。応募者を集めるのに苦しんでいる企業も多いですが、集まり過ぎるのも大変です。

適性検査の実施には多大な費用がかかる

 それは応募者を絞ることにもコストがかかるからです。例えば、採用選考でよく使われている大手の適性検査の場合、受検者1人当たり約5000円かかります。100人採用するのに、100倍の1万人の応募者が来れば、初期選考で適性検査を使うと5000万円もかかるということです。

 それでも、適性検査はマンパワーの削減が可能な上に精度も高いので、コスパは良いと思います。私は適性検査推しなのですが、検査にかかるコストだけ見ると、企業側がひるんでしまうのも仕方がありません。そこで、一見するとお金がかからないエントリーシートを応募者に課す企業が多いのです。

人の印象を操作するのがコツ

 これがいまだに多くの企業の採用試験でエントリーシートが使われている理由ですが、今、就職活動をしている学生にとっては、存在している以上取り組むしかありません。

 そこで、どうすればエントリーシートにおける選考を切り抜けられるのかを考えてみたいと思います。エントリーシートは「人間が見ている」精度の粗い選考手法であることを考えると、ある意味、ハッキングしやすいかもしれません。

 中身は二の次と言ってしまうと企業の人事担当者などから怒られるかもしれませんが、人が文章を読む際に、どんな印象をどのように感じるのかという偏った心理的な傾向を知っておけばよいのです。

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「定着と離職のマネジメント『自ら変わり続ける組織』を実現する人材流動性とは」(ソシム)など。

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