「水分も食べ物も飲み込むのがつらい」…喉の痛みや発熱を伴う「扁桃炎」どんな病気? 風邪との違いは? 医師に聞く
喉の痛みや発熱を伴う「扁桃炎」。風邪との違いや、病院を受診する目安などを内科医に聞きました。
お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志さんが10月16日、自身のツイッターで「扁桃(へんとう)炎」にかかっていたことを明かし、話題となりました。松本さんは、同日放送のテレビ番組を体調不良で欠席しており、その理由として「疲れが喉にきまして熱が…」「扁桃炎でして熱がキツかった!」と投稿。「今は喉の痛みも熱もなく仕事再開しております」と報告しました。
これについて、ネット上では「扁桃炎のつらさ、よく分かります」「扁桃炎は本当にきつい」「水分も食べ物も、飲み込むのがつらくなりますよね」といった共感の声が寄せられている他、「風邪とはどう違うの?」といった疑問も上がっています。「扁桃炎」とはどんな病気なのか、内科医の市原由美江さんに聞きました。
扁桃腺が赤く腫れ、白い膿が付着
Q.「扁桃炎」とは、どんな病気ですか。
市原さん「扁桃炎とは、ウイルスや細菌によって扁桃腺が炎症を起こした状態のことです。急な悪寒や発熱、強い咽頭痛、頭痛、関節痛、首のリンパ節腫脹など、さまざまな症状を引き起こします。感染経路は一般的な風邪と同じなので、飛沫(ひまつ)感染や接触感染です」
Q.扁桃炎の症状は風邪と似ている部分もあるようですが、実際、風邪とはどう違うのですか。
市原さん「風邪で喉が痛くなるときは『咽頭炎』が多く、咽頭(喉)の炎症により喉の痛みや発赤が起こります。一方、扁桃炎の場合は、舌の付け根の両側にある扁桃腺の炎症で、扁桃腺が赤く腫れて白い膿(うみ)が付着します。扁桃炎も、風邪の咽頭炎も同様に、喉の痛みや発熱は同じなので区別することは難しく、医師に喉の奥を見てもらう必要があります。ただし、扁桃炎は繰り返す人が多いので、急な発熱と喉の痛みにより、『また扁桃炎だろう』と訴えて受診する患者さんも少なくありません」
Q.扁桃炎にかかりやすい人の特徴はありますか。
市原さん「精神的・身体的ストレス、睡眠不足、生活習慣の乱れなどにより免疫力が低下すると、扁桃炎にかかりやすくなります。子どもから30代までの若い世代に多いです」
Q.「単なる風邪と様子を見ていたら悪化した」というパターンもみられるようですが、病院に行くタイミングの目安となる症状はありますか。
市原さん「大人の場合、喉が痛くて熱があるのであれば、市販の解熱剤を飲んだり、安静にしたりして自宅で過ごすことも可能ですが、例えば、喉の痛みで水分や固形物の摂取が難しい場合は病院へ行きましょう。ただ、扁桃炎を繰り返していて、毎回抗生物質を内服して改善している人は、喉の違和感があれば早めに病院を受診して薬を処方してもらうケースはよくあります。内科でも診察できますが、受診時は耳鼻咽喉科が最も適切です」
Q.扁桃炎の治療はどのようなものですか。
市原さん「病院では、喉の奥を見る視診を行います。原因がウイルスであれば、痛み止めや熱冷ましといった対症療法の薬が処方され、細菌が原因であれば抗生物質も処方されます。喉の痛みで水分や食事の摂取が難しい場合は、点滴による治療が行われます。通常は1週間程度で治ることがほとんどです」
Q.扁桃炎を予防するための方法や、日常生活上で意識・行動するとよいこととは。
市原さん「扁桃炎は免疫力が低下するとかかりやすくなるので、バランスのよい食事、規則正しい生活を心掛けましょう。また、喫煙や飲酒が扁桃炎を引き起こす場合もあるので、症状を繰り返す人は控えた方がよいでしょう」
(オトナンサー編集部)
コメント