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言うことを聞かないわが子…頭ごなしに叱らず、「アイ(I)メッセージ」で伝えよう

人間関係を円滑にする「アイ(I)メッセージ」という伝え方。親子間のコミュニケーションにおける上手な取り入れ方を、子育てのプロである筆者が解説します。

「アイ(I)メッセージ」で親子関係が円滑に?
「アイ(I)メッセージ」で親子関係が円滑に?

 たとえ親子であっても、「自分ではない相手の態度を変える」のは難しいことです。しかし、主語を「あなたは…」ではなく「私は…」に置き換えると、相手がすんなり動いてくれることがあります。

「自分」を主語にして伝えてみる

 もともと赤の他人だった2人が夫婦になると、ちょっとしたことですれ違いが起こるものです。例えば、テレビのボリュームや冷房の設定温度。寒さを感じたとき、夫に「どうしてあなたはそんなに設定温度を低くするの! もっと温度上げてよ」と相手の行為を否定する言葉で抗議したら、「俺は暑いんだ」となってしまい、けんかになりかねません。

 しかし、相手を主語にして批判するのではなく、自分を主語にして「私、すごく寒いわ。冷房の温度を少し上げてほしい」と言うと、渋々でも従ってくれるかもしれません。

 また、家事についても「あなた、何もやらないのね!(=相手を否定している) 少しは手伝ってよ!」と言ってしまったら、相手は不愉快に感じます。そんなときは、夫を主語にするのではなく、妻であるあなたを主語にして、こんなふうに言い換えてみてはどうでしょうか。

「私は家事に追われて限界。だから少しでも手伝ってくれると(私は)とっても助かる」

「子どもの面倒を見てくれると、(私は)助かる」

 主語を自分にした“アイ(I)メッセージ”で伝えた方が、少なくとも相手の行動を非難するよりも、人間関係はうまくいくのではないでしょうか。

子どもへの声掛けを「アイメッセージ」にすると…

 どんなに穏やかな人でも、人は相手と意見が違うとき、「自分は正しい。相手は間違っている」と思うものです。そのため、主語を相手にして「(あなたは)◯◯だからダメだ。だから(あなたは)◯◯しなさい」と言ってしまいがちです。

 でも、よく考えれば相手も同じように思っているのですから、これではらちが明かず、なかなか折り合いがつきません。

 帰宅した夫から、散らかっている床を指さされて「(おまえ)少しは掃除しろよ!」「(おまえ)少しは片付けろよ!」と言われたら、掃除をしていない自分を否定されているようで、とても嫌です。でも、「(俺は)掃除をしてほしいな」「(俺は)部屋をもっと片付けてほしいな」と言われた方がまだ、ましではありませんか。

 さて、これは子どもに対しても同じです。「こういう行動をしてほしい」と思ったとき、普段、どんな言葉をかけているでしょうか。

 子どもに対しても、「何で散らかすの! いい加減に片付けなさい!」と、けちょんけちょんに言い負かすよりも、「(私は)部屋を片付けてほしい」と伝えた方が、子どもの心象は違ってくるはずです。

 スーパーでお買い物中、子どもが「お菓子買って、買って!」と騒いだとき、「約束を守れないわがままな子ね! ダメ!」とつい言ってしまうことがあります。しかし、売り場のあめやガムが目に入り、欲しくなるのは、人間の欲求として当たり前です。お菓子を欲しがるのは悪いことではありません。

 もし、子どもがお菓子を欲しがったら、頭ごなしに「ダメ」と言うのではなく、主語を親にして、親の気持ちを“アイメッセージ”で伝えてみましょう。

「(ママは)お菓子を買うのは嫌なの」

「(ママは)今日は夕飯だけを買いに来て、お菓子を買うお金を持っていないの」

「お菓子、おいしそうだね。でも残念だけど、今日は(ママは)買わないのよ」

 また、親はテレビを見たいのに、子どもがやっているゲームの音量が大きかったとしましょう。テレビの音が聞こえないと、「音を消しなさい!」「ゲームをやめなさい!」と命令したくなりますが、子どもにとっては、ママが見ているテレビの音がうるさいかもしれません。そんなときも、“アイメッセージ”に変えて言ってみましょう。

「テレビの音が聞こえないから、ゲーム音量を下げてほしいです」(普段使わない丁寧語を使うと、なお効果的)

 ゲームをすること自体は悪いことではないので、頭ごなしに叱るのではなく、「自分がこうしたいから、あなたにはこうしてほしい」と言い方を変えるだけで、伝わり方が違ってきます。

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)。

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