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人体にも存在する「ヒスタミン」、どうして食中毒の原因になる? 福島の小中学生が発疹や頭痛

福島県の小中学校で先日、給食でサンマのすり身を食べた生徒や教師が体調の異変を訴えた集団食中毒。その原因物質は人体にも存在する「ヒスタミン」でした。


魚介類、特にマグロなど赤身の魚に多く含まれる「ヒスタミン」

 福島県の小中学校で先日、給食に出されたサンマのすり身を食べた生徒と教師計87人が体調の異変を訴えた集団食中毒。報道によると、87人には発疹や頭痛、唇のかゆみや腫れといった症状が現れ、その後の調査では、冷凍保存されていたサンマのすり身が消費期限を約5カ月オーバーしていたことが判明しました。 

 そして、食中毒の原因となったのが「ヒスタミン」という化学物質であったことがわかったといいます。食中毒といえば、細菌やウイルスによるものがよく知られていますが、では一体、このヒスタミンとはどのような物質なのでしょうか。

魚の「保管」「流通」悪ければ要注意

 冬になるとよく、二枚貝を十分に加熱せずに食べることによって、貝が持っている「ノロウイルス」が食中毒を引き起こします。また、毎年夏には、腸管出血性大腸菌「O157」などの細菌を原因とする食中毒が多発しています。そうしたウイルスでも細菌でもないヒスタミンが起こした今回の集団食中毒、そのメカニズムはどのようなものでしょうか。

 内科医の友利新さんによると、ヒスタミンは人間の体内にも微量に存在する化学物質で、適量ならば体に有益な働きもするといいます。例えば、ヒスタミンは、アレルギーの原因となる「アレルゲン」が体内に入った場合に増え、アレルゲンを“異物”と判断して炎症反応(アレルギー反応)を起こし、体を守る働きをしてくれるそう。

 では、なぜ食中毒が起きたのでしょうか。友利さんは「福島の食中毒は、サンマが持っていたヒスタミンを摂取したことによって人体の適量を超え、『過剰な反応』として現れたものです」と説明します。

 このヒスタミンはサンマ以外にも、魚介類やその加工品に含まれ、特にマグロなど赤身の魚に多く含まれています。微量なら問題ないのですが、保管や流通の状況が悪ければ大量になり、食中毒の原因になるようです。

 今回のケースでは、消費期限が過ぎたものを冷凍に回していたと見られますが、友利さんは「正しい過程で流通しているものを期限内に食べれば、リスクはほぼゼロと考えてよいのですが、期限が切れて時間が経過したものは要注意。ヒスタミンは一度蓄積されると、加熱しても冷凍してもなくなることはありません」と指摘します。

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友利新先生

友利新(ともり・あらた)

医師(内科・皮膚科医)

沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。現在、都内2カ所のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きるための啓蒙活動を雑誌・TV などで展開中。2004年「第36回準ミス日本」という経歴を持つ美貌の新進医師。美と健康に関する著書も多数。近著に「美肌暦 28日サイクルできれいになる」(光文社知恵の森文庫)、「Dr.友利の美人科へようこそ マタニティ外来編 妊娠・出産Q&A64」(講談社)がある。日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚科学会会員、抗加齢学会会員。オフィシャルブログ「友利新のビューティー診療室」(http://ameblo.jp/arata1107/)。