体調や抵抗力以外に…「血液型」が食中毒のかかりやすさに関係するって本当?
同じ食品を食べても、食中毒になる人とならない人がいますが、それに血液型が関係しているとの説があります。果たして本当でしょうか。

梅雨の時期になると気になるのが「食中毒」。「飲食店で食中毒が発生 被害者多数」といった報道も見かけますが、不思議なのは、同じ食品を食べたにもかかわらず、食中毒になる人とならない人がいたり、症状の重い人と軽い人がいたりすることです。食中毒になるかどうかは、原因の食品を食べた量や当日の体調、体の抵抗力も関係しますが、「血液型も食中毒のなりやすさに関係する」との情報もあります。内科医の市原由美江さんに聞きました。
感染症では関係が分かっているが…
Q.「O型が最も食中毒になりにくい」というネット情報があります。食中毒になりやすいか、なりにくいかに血液型は関係するのでしょうか。
市原さん「『O型が食中毒になりにくい』という情報について、根拠となる研究報告やデータを見たことはありません。むしろ、冬場に多いノロウイルスの一部の遺伝子型では、O型の人に感染しやすく、B型の人に感染しにくいという報告があります。食中毒になりやすいか、なりにくいかと血液型との関係は、一概には言えないと思います。
ちなみに、感染症については、血液型との関係が一部分かっています。簡単に説明すると、A型の人は赤血球の表面に『A抗原』という物質を持ち、B型の人は『B抗原』、AB型の人は『A抗原』『B抗原』の両方を持ちます。
一方、O型の人は、『A抗原』『B抗原』のいずれも持っていません。気道や腸の表面にもこれらの抗原が存在し、感染症の原因となるウイルスや細菌の一部は抗原に結合して感染するため、この2つの抗原を持つA型、B型、AB型の人は、理論上は感染症になりやすいといえます」
Q.食中毒になるかならないか、重度か軽度かは、体の抵抗力の差もあると思います。腸内の善玉菌の多さも関係するのですか。
市原さん「はい、その通りです。腸内細菌は免疫力との関わりが強いため、腸内細菌の状態が良いと免疫力が上がります。乳酸菌やビフィズス菌を摂取したり、これらの餌となる食物繊維を多く摂取したりして善玉菌を増やし、腸内細菌の状態を改善するとよいでしょう」
Q.飲食店で食事をするとき、食品がどのような環境に置かれていたのか普通分かりません。客側が食中毒について自衛する方法はありますか。
市原さん「客側ができる予防には、やはり限界があります。普段から胃腸炎にかかりやすい人や、体調が悪い、睡眠不足など、免疫力が下がっているときには、生ガキや生の魚の摂取は控える、焼肉はしっかり火を通し、口の中に入れる箸で生のお肉を触らないなど、基本的なことを徹底するしかありません」
(オトナンサー編集部)
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