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「事実婚」「内縁」「同棲」ってどう違うの? 弁護士に聞いてみた

昨今、よく耳にするようになった「事実婚」ですが、「内縁」や「同棲」とどう違うのか、正しく理解していますか。これら3つの違いについて、弁護士が解説します。

3つの違い、説明できる?
3つの違い、説明できる?

 男女が共に人生を歩もうとするとき、その選択肢は「結婚」という形だけにとどまりません。昨今は、婚姻届を提出しない「事実婚」を選択するカップルも珍しくありませんが、一方で、以前からある「内縁」や「同棲(どうせい)」との違いについて疑問を持つ人も少なくないようで、「正しく説明できる自信がない」「どれを選ぶのも当人の自由だと思うけど、違いは正しく知っておきたい」「それぞれにメリットとデメリットがありそう」といった声も聞かれます。

「事実婚」「内縁」「同棲」には、法的にどういった違いがあるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

「婚姻の意思」があるかどうか

Q.そもそも、「事実婚」とは何ですか。婚姻届を出す「法律婚」との違いとは。

佐藤さん「事実婚とは、婚姻届を提出せずに、双方が婚姻の意思を持ち、社会生活上、夫婦同然の生活を送る関係のことです。『法律婚』が婚姻届を提出して、法律上の婚姻関係になる(民法739条)のに対し、事実婚は婚姻届を提出していないため、法律上の夫婦にならないところに違いがあります。

事実婚であっても、法律婚に準じるものとして、法的に保護されるものもあります。例えば、事実婚のパートナーであっても、健康保険の被扶養者になることができますし、要件を満たせば遺族年金も受け取ることができます。しかし事実婚は、法律婚とは異なり、パートナーが亡くなっても法定相続人にはなれません。遺言をすることによって、パートナーに財産を残すことはできますが、その場合でも相続税の関係で不利になるといったデメリットもあります。

その他、さまざまな手続きで、事実婚であることを証明する手間がかかったり、所得税の配偶者控除・配偶者特別控除を受けられなかったりするなど、法律婚と異なる点もいろいろとあります。中でも大きな違いとして、事実婚の夫婦の間に子どもが生まれた場合、戸籍の父親欄が空欄になり、法的な父子関係を生じさせるためには『認知』が必要となることが挙げられます」

Q.「内縁」や「同棲」とはどう違うのでしょうか。

佐藤さん「『内縁』は、事実婚とほぼ同じ意味と考えてよいでしょう。かつて存在した家制度のもとでは、『婚姻届を提出したいけれど、家の事情で出せない』状態が存在し、それを『内縁』と呼んでいたようです。そのため、主体的に婚姻届を出さない『事実婚』に対して、『内縁』には、“事情があって出せない”というニュアンスがあったと考えられます。しかし今では、婚姻届を提出しない理由がどうであれ、『内縁』と『事実婚』を同義で使うことが多いように思います。

一方、『同棲』は、婚姻の意思を持たずに、一時的に共同生活を送るケースも含みます。つまり、婚姻の意思の有無が、事実婚や内縁との違いになります」

Q.事実婚や内縁は、何をもって「解消」とするのですか。

佐藤さん「事実婚や内縁は、お互い納得して夫婦同然の生活を終了させれば『解消』になります。離婚届の提出といった手続きは必要ありません。ただし、パートナーが解消したくないと言っているのに、一方的に解消するためには『正当な理由』が必要と考えられており、正当な理由がないまま別居に至ったような場合、パートナーから慰謝料などを請求される可能性があります。

なお、事実婚の夫婦の間に生まれた子どもについて、父親が認知していなかった場合、法律上の父親ではないため、子どもに対して扶養義務を負いません。そのため、事実婚を解消した相手に養育費の支払いを請求したい場合には、認知を求めた上で請求することになるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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