「彼氏ができた」と小学生のわが娘…子どもの男女交際、親はどう関わる? 専門家に聞いた
異性を意識するお年頃でもある小学生。最近では、「彼氏や彼女がいる」「クラスメートと付き合っている」という子も珍しくないようです。親はどう関わればよいのか、子育ての専門家に聞きました。
小学生の頃、「同じクラスの子を好きになった」「こっそり片思いしていた」という甘酸っぱい思い出のある人は多いと思います。そんな親世代に対し、今どきの小学生の中には「彼氏や彼女がいる」「付き合っている」と堂々と言う子も少なくなく、親が驚くこともあるそうで、「小学5年の娘から『同じクラスの彼氏ができた』と言われてびっくりした」「さすがに早過ぎない?」「うれしい気持ちもあるけど、親としては心配の方が大きい」「うちの子も、付き合っている子がいるのかな…」など、さまざまな声があるようです。
小学生の子ども間の“男女交際”に、親はどのように関わるのがよいのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
「ファッションの一部」のような感覚も?
Q.実際のところ、いわゆる「彼氏・彼女」として交際する子どもは増えてきているのでしょうか。
佐藤さん「データや調査などで実態を見ているわけではありませんが、男女交際の低年齢化が進んでいるという話は聞いており、実際に私も育児相談などでそのような話を聞くことがあります。あくまで肌感覚ではありますが、昔と比べて年齢が早まっていると感じますし、また数も増えているように思います。
私は海外暮らしが長いのですが、欧米の子どもたちと比べると、日本の子どもたちは低年齢のうちから、恋愛に興味を持っているように感じることがあります。このことをたまに日本の知人に話すと、『欧米の子の方がませていると思っていた』と言われますが…。実際の数字があるわけではなく、日頃過ごしていて感じる印象なので、どちらが事実に近いのかは分かりませんが、欧米では、小学生のうちは子どもだけで外に出ることが基本的にないので、交際というものに発展しにくいようにも思われます」
Q.小学生における「男女交際」とはどういうものと思われますか。
佐藤さん「小学生の男女交際は、一般的にはおしゃべりをしたり、SNSでコミュニケーションを取ったり、誕生日やバレンタインなどのイベント時にプレゼントを渡したりするようなことが多いと思います。
ただ、このようなやりとりは異性の友達ともすることがあるでしょうから、この2つの何が違うのかといえば、子どもたちがその関係から得る気持ちだと思われます。“彼氏”と“彼女”になることで得られる、ワクワクしたり、ドキドキしたりする気持ちはもちろんのこと、1対1というクローズドな人間関係がもたらす特別感、そして『彼氏や彼女がいることが、かっこいい』というファッションの一部のような感覚もあるかもしれません」
Q.わが子から「彼氏・彼女がいる(できた)」と言われ、男女交際をしていることを知ったとき、親が「サポートした方がいいのか、交際をやめさせた方がいいのか」について悩むケースもあるようです。
佐藤さん「小学生時代の男女交際においては、ご家庭の方針もありますし、交際の内容もそれぞれ違うので、一概にどうするのがよいというのは難しいですが、学校の中で収まっていて、それを楽しそうに家庭で話しているようであれば、過度に心配する必要はないと思います。
一方で、子ども時代の交際は、ちょっとしたことで仲たがいを起こし、長続きしない傾向があるように感じています。人間関係の構築においてはまだまだ成長過程にあるため、相手の気持ちに立った行動が取れずに、意図せず傷つけてしまうことがあるものです。もし、わが子の様子が『いつもと違う』と感じたら、そこに原因があるかもしれないというアンテナを張っておくことは大事だと思います。
また、『◯組の△△くん(ちゃん)を好きになっちゃった』というような、ごく自然に芽生える恋愛感情とはニュアンスが異なり、次から次へとひっきりなしに相手を求めてしまうような場合は注意が必要です。家庭で満たされない人間関係を外に求めてしまうこともあるので、そういった場合は、家庭内の足りない部分を満たしていく必要があります」
Q.一方、子どもの様子などから「うちの子も、付き合っている子がいるのかもしれない」「子どもに恋愛のことを聞いてもいいものか悩む」と気にする親もいるようです。子どもから何も言ってこない場合、親から聞くなどして把握しておいた方がよいのでしょうか。
佐藤さん「私は、把握しておいた方がよいと考えています。理由としては、親が安心して見守れるくらいの交際が小学生にはふさわしいからです。今はSNSなどを通じ、見ず知らずの人と知り合うことが簡単にできてしまう時代です。小学生では、善悪がまだ適切に判断できないこともあるので、“もしもの犯罪”に巻き込まれるリスクを回避するためにも、状況を把握しておくに越したことはありません。
とはいえ、このような疑いを払拭する思いで、『危ないことはしないでよ』とか『どこの誰なの?』といった感じで子どもに尋ねたら、まずそこで口を閉ざしてしまうと思います。基本的には、『話を受け入れるよ』という同調の姿勢で、相手のお子さんの得意なことや好きな食べ物など、子どもが『ママ・パパに言いたい』と思うようなことから聞いてみるとよいと思います」
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