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知床観光船沈没1カ月へ…なぜ「出航」判断? 心理学で考える

悲劇を繰り返さないためには?

 こういった、人間の誤った判断に対処するためには、決定権を人間に握らせないのが一番です。あらかじめ、客観的に観測可能で、安全寄りの基準値を定めておき、それを上回ったら有無を言わさず諦める、というルールを作っておくのが有効です。

 人間は、ついその場の状況や立場などに流されて、てんびんの片側にあるリスクを軽めに見積もったり、時には見なかったことにしたりします。また、さまざまな事情から、てんびんの反対側にある利得を、実際よりも重く見積もってしまうこともあります。

 ですから、こういったリスクテイクに関する決定は、その場所、その瞬間に居合わせた人の判断に委ねるべきではないのかもしれません。

 同じような「判断の構造」は、世の中のあらゆるところに転がっています。この事故の教訓が生かされて、さまざまな場所で、同種の判断ミスの再発防止策が講じられることを願いつつ、行方不明となっている皆さんの一日も早い発見と、亡くなられた皆さんのご冥福をお祈りしたいと思います。

(近畿大学生物理工学部准教授 島崎敢)

【画像】土下座を繰り返す観光船運航会社の社長

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島崎敢(しまざき・かん)

近畿大学生物理工学部准教授

1976年、東京都練馬区生まれ。静岡県立大学卒業後、大型トラックのドライバーなどで学費をため、早稲田大学大学院に進学し学位を取得。同大助手、助教、国立研究開発法人防災科学技術研究所特別研究員、名古屋大学未来社会創造機構特任准教授を経て、2022年4月から、近畿大学生物理工学部人間環境デザイン学科で准教授を務める。日本交通心理学会が認定する主幹総合交通心理士の他、全ての一種免許と大型二種免許、クレーンや重機など多くの資格を持つ。心理学による事故防止や災害リスク軽減を目指す研究者で、3人の娘の父親。趣味は料理と娘のヘアアレンジ。著書に「心配学〜本当の確率となぜずれる〜」(光文社)などがあり、「アベマプライム」「首都圏情報ネタドリ!」「TVタックル」などメディア出演も多数。博士(人間科学)。

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