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「ロシア人って悪い人なの?」と子どもに聞かれたら、どう答える? 子育てアドバイザーに聞く

ロシアのウクライナ侵攻について、「子どもから何か聞かれたらどう答えるべきか」と悩む親御さんもいるようです。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに話を聞きました。

破壊された学校の前を歩くウクライナの子ども(2022年3月、AFP=時事)
破壊された学校の前を歩くウクライナの子ども(2022年3月、AFP=時事)

 ロシアのウクライナ侵攻について、「子どもから何か聞かれたらどう答えるべきか」と悩む親御さんもいるようです。例えば、「ロシア人は悪い人たちなの?」と聞かれたら…といった悩みです。また、戦場の映像が毎日のようにテレビから流れる中、子どもの心をどう守るのかも、大事な課題です。子どもたちに、ロシアとウクライナのことをどう話すべきか、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。

「ロシアにも、つらい思いの人がいる」伝えて

Q.ロシアのウクライナ侵攻のニュースを見る子どもの心は、一般的にどのような状態だと考えられますか。特に戦闘の様子や被害を受けた建物、被害に遭った人の映像を見てしまった後の状況について、教えてください。

佐藤さん「小さい子ほど、ニュースで流れる言葉よりも、映像にフォーカスを当てやすいものです。大人は、キャスターが伝える言葉での情報を理解した上で、そこに流れる映像を目にしますが、言葉が発達中の子どもたちは、どうしても視覚情報に頼りがちになります。

ニュースで流れる映像は、攻撃の様子や人々が置かれている惨状など、心に刺さるスクープ的なものが多い分、子どもたちの心に大きなインパクトを与えることになります。大きなショックを受けたり、『自分たちは大丈夫だろうか』と不安になったりする子もいるでしょう」

Q.子どもの心を守るために、親はどのようなことをすべきでしょうか。

佐藤さん「メディアの映像はどうしても衝撃的なものが多いので、テレビをつけたままにしておくのはやめるべきです。長い時間、しかも繰り返し映像にさらされれば、影響される可能性も高まってしまいます。

リビングのテレビをつけて、声をやや大きめにし、キッチンでニュースや情報番組を聞いている人も多いかと思いますが、お子さんがもしテレビの前に座っているのであれば、配慮が必要です。ニュースや情報番組を子どもが見る場合は、大人が横にいる状態で、言葉で補足ができるときにし、ニュース映像だけで子どもが戦争の情報を得るという状況は避けましょう」

Q.戦場の映像などを見て、「幼稚園に行きたくない」「学校に行きたくない」と言いだした子どもがいた場合、どのように対応すべきでしょうか。

佐藤さん「子どもの頃、『テレビの中に人が入っていて、そこで話しているのかな』と思っていた人も多いと思います。子どもたちはまだ限られた世界しか知らないので、『遠く離れた外国で起こっている』ということを理解するのが難しく、身近なこととして捉えてしまう子もいるでしょう。実際にウクライナで子どもが被害に遭っている報道もされているので、なおさら『自分に起こるかもしれない』『園や学校に行きたくない』という子もいるはずです。

先述の通り、子どもは言われても分からないことでも、見ると理解できることがよくありますので、地球儀や世界地図などがあれば、それを見ながら、『○○ちゃんのおうちはここ。今のニュースの場所はここ』のように、明らかに距離が離れていて、園や学校は完全に安全であるということを分かりやすく説明してあげると、助けになると思います」

Q.そもそも、子どもがショックを受けないように、ウクライナ関係のニュースを全く見せない、という選択肢はありなのでしょうか。

佐藤さん「お子さんによってはとても感受性の高い子がいますので、見せない選択肢はありだと思います。また、性格的な面だけでなく、年齢が小さく、見せたところで不安をあおるだけだと親御さんが感じる場合は、見せない方が望ましいと、私は考えています。

大人と子どもは、同じ出来事を同じように感受するわけではありません。何でも共有するのがいいというわけではなく、子どもを巻き込まない方がよいこともあります。特に、戦争は国同士の問題であり、子どもに説明することが難しいことも多いものです。お子さんの性格や年齢に応じ、あえて触れないというのも大事な判断だと思います」

Q.「ロシア人って悪い人なの?」と子どもに聞かれたら、どう答えるべきでしょうか。

佐藤さん「『これは国の戦いであって、普通のロシア人はわが家みたいな普通のおうちなのよ』『だから今回の戦争で、ロシア人もすごくつらい思いをしている人はたくさんいるの』。このように伝えるのがいいように思います。

私は海外暮らしが長く、その間に日本が政治的に近隣諸国と緊迫している時期もありましたが、私たちも、そして相手国の子どもたち、ママ友たちも、ごくごく普通の人たちです。一般市民レベルで見れば、国民の善悪などないので、その辺りが差別的に伝わらないように気をつけることが、非常に大切だと思います」

Q.身近にロシア人やロシアにルーツを持つ人(特に学校などのクラスメート)がいる場合、どう接するよう子どもに話すのがよいのでしょうか。

佐藤さん「このような事態のときは、最初に見聞きした印象が残りやすいので、子どもたちに偏りや悪意のある情報が先に入ってしまうのは避けたいものです。そのため、もし身近にロシアの人がいる場合は、早い段階で大人がその子を守るために動くのが大切になってきます。

とはいえ、すでに戦争が始まって1カ月たつため、今回の場合はこの時期を過ぎているかと思います。今できることとしては、これまで通り接していくことです。戦争は完全に政治の話であり、子どもたちには全く関係がありません。子どもたちにも、『今までと同じようにお友達でいようね』といった感じで話すとよいでしょう。

外国人に日本人の印象を聞くと、みなさん漏れなく、『Gentle(優しい)』と言ってくれます。日本人が持つその優しさこそ、今日本にいるロシア人、ウクライナ人の皆さんに届けていきたいものです。

日本はまだまだ外国人が少なく、日本人が大半なので、その分、在日外国人は心細い思いで生活をしていると思われます。今回の戦争でいっそう、その心細さが増してしまわないように、自分に関係する知り合いや友だちをそれぞれが大切にすることが大事だと思います」

Q.「ウクライナの人たち、かわいそう」と子どもが悩む様子を見せたら、どのように対応すべきでしょうか。

佐藤さん「そのような様子を子どもが見せたら、『できることはないか』と家族で話し合うといいと思います。誰かを助けることで、自分が強くなれることはよくあることだからです。

例えば、募金をしようということに話がまとまった場合も、単に『お金を送る』」だけでなく、どのようにその支援がウクライナの人に届くのかという、募金活動の仕組みを知ることが、子どもたちにとっては大事だと思います。

セーブ・ザ・チルドレンやユニセフのような大規模な機関のほかにも、きっと近所のスーパーのレジの近くに募金箱もあると思いますので、入れたお金がどのようにサポートにつながるのかを説明してあげてほしいです。

また、戦争は言ってしまえば大きなケンカです。『争いごとはよくない』『攻められるのはかわいそうだ』という意識は、子どもたちの日常生活で身近に起こるケンカを振り返る機会になるかもしれません。子どもに寄り添い、その思いを聞いてあげてください」

(オトナンサー編集部)

【画像】「最後まで戦う!」 ロシアの侵攻に抗議するウクライナの人々

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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