舌に白いものが…「舌苔」がつきやすい人、つきにくい人は何が違う?
口臭の原因として知られる「舌苔」ですが、日常的につきやすい人と、ほとんどつかない人がいるようです。両者の違いはどこにあるのか、歯科医師に聞きました。

舌の表面が白くなる「舌苔(ぜったい)」。口臭の原因として知られているため、鏡の前でチェックするなど、日常的に気にしている人も多いのではないでしょうか。最近では「舌ブラシ」やジェル剤など、「舌磨き」専用のグッズもあり、自宅でもケアしやすくなってきています。一方で、普段から舌磨きをしているわけではないのに、舌苔がほとんどつかない人と、小まめにケアをしていても舌苔がたくさんついてしまう人がいるようです。後者の人からは、「毎日、舌磨きをしているのに白さが取れない」「いつも白いのは何が原因?」「病気の可能性もある?」など、気にする声もあります。
「舌苔」がつきやすい人とほとんどつかない人は、何が違うのでしょうか。五反田駅前歯医者(東京都品川区)院長で歯科医師の大木烈さんに聞きました。
舌の置き位置や「口呼吸」が関係
Q.そもそも、「舌苔」とは何ですか。
大木さん「舌苔とは、舌の凸凹(糸状乳頭)に存在する細菌や汚れの集合体です。舌の表面の凸凹した部分に細菌や汚れが蓄積することによって発生し、口臭の原因になります。また、舌苔が多く付着していると、せっかく歯を磨いても歯にすぐ細菌が付着してしまうため、歯磨きの効果が激減します。高齢者においては、舌苔を含む口腔(こうくう)内の細菌による誤嚥(ごえん)性肺炎の原因となります」
Q.普段あまり舌のケアをしていなくてもほとんど舌苔がつかない人と、「常に舌が白い」「丁寧に除去してもすぐ白くなる」人がいるようです。舌苔がつきにくい人とつきやすい人との違いは何でしょうか。
大木さん「舌苔のつきやすさには、舌の正しい位置や口呼吸が関係します。自然な姿勢の安静時、舌が低い位置に置かれている(低位舌)▽舌の先が、下の前歯の裏についている▽口呼吸をしている―ことで、口蓋(こうがい。上顎の内側の部分)と舌が離れていると、口蓋と舌が擦れ合わないため、自浄作用(擦ることで汚れを落とす作用)が働きません。いつも舌苔が多くついているという人は一度、舌の位置や口呼吸の有無を確認してみてください。
なお、舌苔のつきやすさの違いは、舌の表面の性状、唾液の性質や量、食べ物や嗜好(しこう)品などの違いにも左右されます。また、“常に”舌苔がついて舌が白くなっているという場合、舌炎やカンジダ症などの病気の可能性も考えられます」
Q.舌苔を全くつかないようにする方法はあるのでしょうか。
大木さん「舌苔を全くつかないようにすることは、口腔内のつくりとして不可能です。ただ、先述の『舌の正しい位置』を意識することで軽減が見込めるケースもあります。とはいえ、舌の位置を自分ですぐに直すことは難しいので、まずは口呼吸になっていないかを意識してみてください。口呼吸に関連して、歯並びの診察や耳鼻科の受診が必要になる場合もあります」
Q.ちなみに、舌苔がついていたら、やはり除去した方がよいのでしょうか。それとも、放置しても問題ないのでしょうか。
大木さん「舌苔は除去しましょう。放置はNGです。日常のケアでは、舌ブラシや軟らかめの歯ブラシを使い、舌の奥から手前に向かって、優しくブラシをかけるようにして舌苔を落としましょう。また、ガムをかむのも効果的です。ガムをかむことで唾液を増やすと、舌苔を洗い流してくれるとともに、付きにくくもします。ただ、やはり一番は日々のケアで除去することでしょう。ただし、とにかく汚れを落としたい一心で、舌をゴシゴシ磨くことだけはやめましょう」
(オトナンサー編集部)
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