「白い歯」に憧れているのに…歯が黄ばんでしまうのはなぜ? 歯磨きだけじゃダメ?
白い歯は笑顔の印象をも左右する大きなポイント。しかし、歯の「黄ばみ」を防ぐ難しさを感じる人は少なくありません。歯が黄ばんでしまう原因について、歯科医師に聞きました。

鏡で自分の歯を見たとき、「黄ばんでいる」「白さがなくなった気がする」と感じ、気になったことはありませんか。白い歯は清潔感を与えるとともに、笑顔の印象まで左右する大きなポイントですが、日頃から意識していても歯の黄ばみを防ぐのはなかなか難しいものです。ネット上では、「ふと気付くと歯が黄ばんでいてショック」「一度黄ばむとなかなか落とせない」「普通に歯磨きをしているだけではダメ?」「どうやったら防げる?」など、さまざまな疑問の声があります。
歯が黄ばんでしまうのはなぜなのでしょうか。ヒグチデンタルクリニック(東京都台東区)院長で歯科医師の三枝遵子さんに聞きました。
着色汚れを「つきにくくする」のが大事
Q.歯の黄ばみは「一度つくとなかなか落ちない」と感じている人が多いようですが、実際のところはどうなのでしょうか。
三枝さん「茶渋などの黄ばみや着色汚れは、一度つくと、歯磨き粉だけではなかなか落としにくいです。また、こうした汚れは重なるようについてしまいます。そのため、口腔(こうくう)内の清掃状況がよくなるように、歯科医院でクリーニングしてもらうことをおすすめします。
歯磨きが上手にできており、歯の表面がツルツルした状態のときは、着色汚れはつきにくいので、上手な歯磨きが重要です。最近は、着色汚れがつきにくくなる効果的な歯磨き粉の中でも、薬用成分である『ポリエチレングリコール』が配合されたものがよく売れているようです。しかし基本的には、歯自体を白くするというより、茶渋などの汚れを落としやすくする作用があるもので、『歯自体のホワイトニング』を期待すると、がっかりするかもしれません」
Q.歯が黄ばむ原因が「何らかの病気」であるケースもあるのでしょうか。
三枝さん「考えられることとしては、『酸蝕歯(さんしょくし)』が挙げられます。特に、酢やワイン、かんきつ系といった酸性が強い物や、炭酸飲料、乳酸菌飲料、スポーツドリンクなどの摂取量が多い人は、歯の表面の組織であるエナメル質が溶けてしまい、その次の組織である象牙質が透けて見えるようになるため、歯が黄色く見えることがあります。嗜好(しこう)品ばかりでなく、バランスのよい食事を取ることが大切です。
一方、抗生物質の副作用や、外傷したときなどは、黄ばみだけではなくグレーっぽく変色した歯になることがあります。この場合は歯のホワイトニングが難しく、歯にセラミックなどをかぶせる『補綴(ほてつ)治療』をした方がよいです」
Q.黄ばんでしまった歯を、本来の歯の色に戻すことはできますか。
三枝さん「そもそも、歯の本来の色は十人十色です。皮膚が色白の人もいれば色黒の人もいるように、生まれもって歯が白い人もいれば、もとから黄色っぽい人もいます。歯の色そのものは、歯科医院でホワイトニングをするか、先述の補綴治療をしないと白くはなりません。
ちなみに、患者さんの中には、磨き方が悪いために歯垢(しこう)が蓄積されて『歯石』になり、その状態を『黄ばんでいる』と表現する人もいらっしゃいます。歯石が付着していることによる黄ばみもやはり、歯科医院で取り除かなければ、歯磨きだけでは白くなりません。歯石による黄ばみの場合、確実に歯垢を落とすように歯磨きをすれば、黄ばむ可能性は少なくなるかもしれません。
黄ばみをつきにくくするために、歯磨きに時間をかけたり、磨く回数を増やしたりするのもよいですが、何より、きれいに歯垢を除去できる上手な歯磨きを自分自身で習得することです。歯科医院でも歯磨き指導をしてくれますよ」
Q.中には、「毎日しっかり歯磨きをしているけど、それでも黄ばむ」という人もいるようですが、毎日の基本的な歯磨きだけでは足りないのでしょうか。
三枝さん「毎日しっかり磨いていると思っていても、実際はよく磨けていない可能性があります。繰り返しになりますが、着色汚れをつきにくくするには、きれいに歯垢を除去できるような歯磨きを覚えることが何より大切です。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的な道具も使い、効率よく歯垢を取ることも大事です。
もちろん、ホワイトニング効果のある歯磨き粉を一緒に使用することで相乗効果をもたらしますが、とはいえ、完璧に歯を磨けている人は少ないので、歯科医師や歯科衛生士が、汚れが取れていないところをチェックし、着色しにくい口内環境をつくるためにクリーニングをしています。黄ばみが気になるという人は、歯科医院でぜひ相談してください」
(オトナンサー編集部)
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